【ナスの揚げ浸し】ナスと油と酢飯の融合

公開日: 更新日:

鮓職人 秦野よしき(東京・麻布十番)

「当店の名物のひとつになっているものに、『ナスの握り』があります。スライスして揚げたナスを自家製のタレに漬け込んだもので、創業当時から季節を問わずにお客さまにお出ししています。寿司ネタとしては変わり種ですが、私にとっては大切なものなのです」

 修業時代、賄い飯の調理を任された。早い、うまい、安いが基本。そこで調理場に余っていたナスを揚げ、めんつゆにくぐらせて、酢飯の上にのせた。どんぶりをかき込む先輩職人の顔に笑みが広がり、親方に「うまい!」とホメられた。

「いってみれば、このナスの握りは職人としての自分の原点。初心を忘れないように、毎日、お客さまに出しているんです」

 もちろん、秦野よしきで人気のこの寿司ネタはそれだけで最高のツマミになる。店では、自家製タレに5時間漬け込んだ揚げナスをザルにあげ、キッチンペーパーに包んで1日寝かせるが、家庭ではその手間はいらない。タレもめんつゆで代用する。揚げ油に風味づけ程度のごま油を加えるのがポイントだ。

《材料》
・ナス        1本
・市販のめんつゆ 適量
・大根おろし 適量
・ごま油 適量

《レシピ》
(1)厚さ1センチ程度にスライスしたナスを180度の油(分量外。ごま油を適量加えて風味をつける)でさっと10秒ほど素揚げにする。
(2)揚げたナスをめんつゆにくぐらせる。めんつゆの濃度はメーカー表示に従うが、ざるそばのつけ汁よりやや濃いめくらいがいい。
(3)大根おろしを添えて出来上がり。

今日の達人 秦野芳樹さん

▽はたの・よしき
 東京都調布市出身。国士舘大学法学部へ入学と同時に寿司店での修業を始める。赤坂、銀座、白金台の有名店で腕を磨いて25歳で独立。2013年、麻布十番に「すし道」を開店。15年6月に店名を現在のものに改めた。学生時代に剣道、柔道で鍛えた屈強な体とは対照的な、人懐こい笑顔と繊細な料理で各界著名人にもファン多数。

▼鮓職人 秦野よしき
 趣向を凝らしたツマミと江戸前の伝統を守りながらも独自の工夫を加えた握りが自慢。フルネームの屋号には「仏、伊料理では当たり前。ライバルはジョエル・ロブションです」との決意が込められている。メニューは1万5000円のおまかせのみ(消費税、サービス料別)。
港区六本木5―11―25 3F
℡03・3475・4004

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