「この価格で大丈夫?」と客も心配に…応援しよう激安食堂3店(関東)
デフレ下の平成はワンコイン定食や弁当が珍しくなかったが、物価高の今も激安を守る食堂がある。もちろん、味は文句ナシにうまい。常連客が心配するほどの良心的な店は、精いっぱい応援しよう。まずは東京、埼玉、神奈川の名店を。
■食堂おすず(埼玉・浦和)焼き肉定食500円
物価高の今、ワンコインでしっかりした定食を提供する店は、ありがたい。そんな庶民の味方が、さいたま市浦和区の住宅街で50年以上も営業を続けるこの店だ。
店を切り盛りしているのは佐々木日登美さん・英正さん親子。日登美さんの父が創業し、フレンチレストランで10年修業した英正さんが戻ってきて今のスタイルになったという。
1番人気の焼き肉定食は昼も夜も500円。味もボリュームも500円とは思えないクオリティーの高さだ。記者がその安さに驚いていると──。
「これでも去年のゴールデンウイークに20円値上げさせてもらったんですよ。お客さんには申し訳なかったんですけど」
日登美さんがすまなそうに言うと、横から英正さんがこう胸を張った。
「いくら安いからといっても、手抜きは一切していませんよ。焼き肉に使うタレだって、じいちゃんが作ったタレを継ぎ足し継ぎ足ししてきた秘伝の味なんですから」
ほかにもとんかつ定食やメンチかつ定食、白身魚フライ定食などがあってすべて500円。取材時の最高値だったかきフライ定食でも700円というリーズナブルさ。
一品メニューも多数あり、写真のレバーにんにく炒めは260円、なすしょうが炒めは280円で、多くは100円台から200円台。せいぜい300円台だから恐れ入る。
「家族だけでやっているから人件費がかからないし、毎日息子が仕入れに行って安い食材を見つけてきて頑張ってくれているから何とかやっていけるんです」(日登美さん)
毎日でも通いたくなる店だ。
(住)埼玉県さいたま市浦和区岸町2-2-1
(営)午前11時~午後3時、午後5~9時
定休日=土日祝日
(℡)048-822-1252
みやら製麺(東京・上野)八重山そば650円
古民家の引き戸はこの時季、開け放たれている。のれんをくぐると、レゲエがゆったりとしたリズムを刻み、「いらっしゃいませ」と女性スタッフに迎えられる。木造ならではのホッとした空間は、ご主人・宮良隆生さん(63)が生まれ故郷・石垣島で親しんだ八重山そばを提供する店だ。
「内地の人は、沖縄料理屋で締めに食べるそばを沖縄そばだと思ってるでしょう。全然違う。スープは自家製でも、麺は既製品がほとんど。ひどいと、どっちも既製品でしょ。自分でやるなら、すべて手作りで出したかったんだ」
独自の配合で小麦粉から製麺し、骨付きの豚肉を沸騰させないようにゆっくり炊いてうまみを抽出し、昆布やカツオ、野菜などのうまみを重ねてスープをつくる。香りのよい麺は、ほのかなあめ色に透き通ったスープにひたり、石垣島から仕入れるカマボコと細切りの三枚肉がのった、八重山そばは1杯650円。
沖縄の食堂そのままの価格だが、その本場はバブル化が進み、この価格は見かけない。物価高が激しい東京もしかりで、激安といっていい。スペアリブのソーキや豚足のてびちをのせても、各800円と900円だ。
「現価とわずかな利益だけで、手間賃は入れてない。もうこの年だし、仕事はしたくないから、せいぜい1日140食が限界さ。儲ける気はないしね。好きなキャンプに出かけて、うまいビールを飲んでゆっくりできればいいんだけど、あいつがうるさいからなぁ」
そうボヤいて若き伴侶に視線を送ると、「さ、仕事。ソーキ注文入ったからね」と厨房に戻るように指示された。
この値段で昔ながらの一杯が食べられるとあれば、沖縄好きが集まるのは当然で、ランチはいつも閉店まで客足が絶えない。ご主人が悠々自適な毎日を送れるのは当分、先だろう。
(住)東京都台東区上野1-2-8
(営)平日午前11時30分~午後3時、午後5~8時。土曜はランチのみ
定休日=日曜
(℡)03-5577-6622
北京(神奈川・横浜)餃子6個500円
八百屋や魚屋、総菜店などが軒を連ねる横浜橋通商店街を首都高方面に抜けてすぐ。これぞ町中華! といったたたずまいの店は、飲食歴45年の大将・村上浩二さんと貴代美さん夫婦が切り盛りしている。
テーブルの一角に腰を下ろし、壁にズラッと貼られた品書きを見ると、ラーメンは600円。昭和価格にホッとする。イチオシは横浜名物のサンマーメン800円だ。
「ウチの料理はどれもボリュームたっぷりよ」と貴代美さんが太鼓判を押す通り、チンゲン菜やタマネギ、キクラゲ、ニンジン、タケノコ、モヤシなどが豚肉と炒められ、おしげもなく盛られている。シャキシャキとした食感がうれしくて食べ進むと、醤油ベースの餡が絡んだちぢれ麺にたどり着き、とろりとしたスープがうまい。コラーゲンとうまみが豊富な豚のゲンコツのみを長時間煮出したそうだ。大量の野菜と麺も、おいしくてペロリと完食した。
「酒好きの常連サンは決まって注文するねぇ」と大将が笑うのは、揚げワンタン600円。ほんのりと食欲をそそる甘酢の香りがする一皿には、ドカッと盛られた熱々のワンタンと白髪ネギが。パリパリ感が楽しく、人気なのも納得だ。
「1997年にオープンした時、記念にラーメンと餃子の100円セールをやったら、店先に100人以上の大行列ができたんだ」と目を細める大将。チャーハン600円、牛レバニラ炒め700円とメニュー65種は多くが1000円以下。
物価高で一部値上げするそうだが、「絶対に値上げしない」と決めた一品が餃子500円だ。豚肉や白菜、ニラ、ニンニクなどがたっぷり。ひだが小さくなるほどギッシリとパンパンに包まれた6個がキツネ色に焼かれている。
「食材は近場で、調味料や油は良いものを低コストで仕入れるよう頑張っています」と女将さん。おつまみ300円も旬の食材を使用し、例年5月は野ブキの煮物。量も愛情もたっぷりの名店だ。
(住)神奈川県横浜市南区万世町2-38
(営)午前10時30分~午後9時
定休日=水曜(祝日営業)
※価格やメニューなどは取材時のもので、変わる可能性もあります。訪問される際はご注意ください。
















