年功賃金崩壊…若手確保の裏で冷遇される中高年社員の現実
若者はリッチ、中高年は貧乏――。サラリーマン社会に年齢による格差が広がっている。
総務省が18日に発表した家計調査によると、2人以上の世帯の平均貯蓄は前年比0・4%減の1812万円。これが世帯主が50代だと5・7%も減っているのだ。若手社員を優遇し、中高年を冷遇する企業が増えたことが原因とみられている。
世の中は空前の人手不足だ。企業は若手社員を確保するために初任給を増額している。富士フイルムは昨年より1万1200円上積みして23万5000円。富国生命は今年度から、明治安田生命は来年度から、それぞれ5000円増やして21万円となる。通販の北の達人コーポレーションは9万円増の34万円と大幅増額を発表した。
とはいえ給与の原資には限度がある。そのため昇給の引き上げ幅を40歳以上は1・5%に抑え、20~30代を5%にするような企業も出ている。古参社員はそこそこにして、若手社員に手厚くしているのだ。
■給料も貯金も減る一方……
「目的は新卒者や若手社員を確保すること。そのためこの5、6年で年功序列賃金の見直しが加速しています」とは労働問題に詳しいジャーナリストの溝上憲文氏。