カフェ・サルバドル・ビジネスサロン<上>兜町再興めざして
証券会社の業界団体「日本証券業協会」が入っている東京証券会館1階はその昔、有価証券報告書や決算書が閲覧できる場所だったが2年前、カフェ・サルバドル・ビジネスサロンが開店した。
80坪という広いスペースにいる客はさまざま。飲食を楽しむ人もいれば、コーヒーを飲みながらパソコンに向かって仕事をする人、読書にいそしむ人もいる。
パーティションの向こうの会議スペースからは、何人かの生徒を相手に英会話を教える外国人の声も響いてきた。それぞれの用途に応じたスペースが用意されており、例えば仕事をする人向けのコーナーはWi―Fiはもちろん、レーザープリンターやコピー機などが備えてある。
店の誕生の経緯は気宇壮大なところがある。東証会館のすぐそばにある東京証券取引所から「場立ち」がいなくなり、ネットを通じて証券取引は可能になった。「近代日本の資本市場発祥の地である日本橋兜町で働く人は減っており、街をどう再活性化するかが課題なんです」と、「証券界の大家」で東証会館の所有者でもある平和不動産・街づくり推進室の山根拓馬主任は言う。
そこで4年前、トヨタ自動車元社長の奥田碩氏を座長とする「投資と成長が生まれる街づくり協議会」が立ち上がり、翌年に中間提言をまとめた。いわく「日本橋兜町の新しい主役は資産運用を中心とした金融人だ」であり、そうした人を呼び込む装置づくりの必要性を唱えている。これを受けて平和不動産が出した一つの答えが、若者に人気のワイアード・カフェなどを運営するカフェ・カンパニーとのコラボなのだ。