終身雇用は終焉 AI時代に合わせた「職種転換」は副業で
百貨店、広告、製薬、製造業、そして銀行と、一度は収まったかに見えた上場企業のリストラが昨年来、相次いでいる。企業の人事担当者からも「終身雇用の維持は念頭に置いていない」という長期予測が普通に聞かれる。
日本企業の一番の問題は「収益率の低さ=生産性の低さ」だとされる。昨年度末の企業業績は過去最高益だったものの、現実には売り上げに対する税引き前純利益は4%程度で、収益確保が十分できていない。
ちなみに米国企業ではIT、電機、半導体、通信は純利益20%程度を確保し、業績がいまいちの自動車でさえ5%、重電で11%である。EUでも通信機器が33%、自動車は13%、電機は9%もある。他方、日本企業では米国式経営に近いソフトバンクが16%、グローバル企業代表のトヨタが7%、日立やソニーは3%である。
社会保障費の構成が似ているEUと比較しても、日本企業の純利益率が低すぎるのがよく分かる。今後、2040年に企業の社会保障費負担は最大となり、経営がさらに圧迫される見込みだ。
そこで企業は、終身雇用からの転換策として、①従業員の職種転換、能力シフト、人材配置の再設計②管理職定義の再構築③専門人員不足を補完するチームジョブ推進――などを人事戦略としてまとめているが、その大半は手つかずのまま。今後の収益改善のため、次の10年に向けて具体化していくことになる。