LINEやANAが続々開設も 企業主導型保育所が抱える問題点
幼児教育・保育の無償化で家計が助かっている子育て世帯は多いはず。出生率の向上と女性働き手の増加が狙いだが、同じような目的で内閣府が2016年から始めたのが「企業主導型保育所」だ。
こちらの方は少なからず問題がある。企業主導型保育所は、会社が自社の施設や敷地内などに従業員(一部は非従業員に開放)のための保育所を設け、格安料金で利用させるというもの。設置した企業には内閣府から補助金が出て、固定資産税や事業税の優遇というメリットもある。そのためLINEやヤフー、ANAなどの企業が続々と保育所を開設しており、一部には社員の福利厚生として利用料を無料にしている会社もある。
ところが、せっかく保育所を開設したものの、“育児のプロ”の経営ではないため保育の質が悪かったり、時間外の融通が利かなかったりで低利用になっているのが現実だ。またこれに幼保の無償化が追い打ちをかけ、会社の保育所に預けるメリット自体も薄れている。さらに全体の約1割の252施設が補助金を受け取っていながら、実際には開設していなかったという問題も。8000万円の補助金を不正に受け取ったとして逮捕される事件まで起きている。