退職代行の専門家が明かす「慰留ハラスメント」壮絶実態
職場のハラスメントは、パワハラやセクハラだけではない。いま、「慰留ハラスメント」が猛烈な勢いで広がりつつある。会社を辞めたいと言った途端、会社側からパワハラまがいの圧力を受けるケースだ。当人の意思など無視同然。会社の都合だけを押し付けて、辞めさせない。どうする?
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■辞めたいのに辞められない
辞めたくても辞められない――。あろうことか、会社を退職できずに思い悩む社員が増えているという。常識的には、上司に退職届を出し、会社を辞める意思表示をすれば、十分のはずだが……。先ごろ、「退職代行」(SB新書)を上梓した、弁護士の小澤亜季子氏が言う。
「退職の意思を、第三者の業者に頼んで会社に伝えてもらう退職代行サービスのニーズは増えています。背景には、少子高齢化による労働力不足、人手不足があり、簡単に辞められては困る会社側が、あの手この手で強烈な引き留めに走るという構図があります。私自身、昨年の8月から弁護士の立場での退職代行サービスを開始しましたが、相談数はすでに400件を超えています。相談者の性別は男性が7割、世代別では30代が約30%で最も多く、20~40代合わせて8割を占めます。私のところは業者の中でもかなり値段も高いのですが、これはけっこう深刻な方が多いからだと思います」