「虎峰」など運営 「GYRO」社長の花光雅丸さんの巻<2>
発酵居酒屋 5 (東京・南青山)
店名にある通り、発酵をテーマにした居酒屋さんで、お通しから肉や魚のメイン料理、サラダ、さらにはデザートまで、多くの料理に発酵の知恵が生かされています。なんとお酒にも!
ランチでも人気の唐揚げは、鶏肉を自家製塩麹のタレで発酵させ、熟成させたもの。ディナーでは3個で1000円。一見割高のように思われるでしょうが、皿にはナイフとフォークが添えられています。1個は、一般的な2つか3つ分の大きさなんです。
それを適当なサイズに切って口に運ぶと、サクサクの衣がはじけて、肉汁がジュワッとあふれます。とにかくジューシー。発酵と熟成のパワーなんですね。
実は、店の入り口には樽があり、透明なフタの上には「ただいま発酵中」の看板が立てかけられています。樽の中は、麹です。酒や味噌、醤油などは、すべて麹による発酵のおかげ。麹が日本の食卓を支えていることから、彼らをたたえ、店内で麹を発酵させているのです。
スゴイ!
レモンサワーに乳酸菌でドライな口当たり
青菜の炒め物(680円)には、沖縄の豆腐を泡盛で発酵・熟成させた豆腐ようをプラス。写真の通り見た目は、通常の炒め物ですが、沖縄料理になじんだ方なら、食べると、豆腐ようのウマ味がふんわりと鼻に抜けます。
イタリアンの定番トリッパは、牛の胃袋のひとつ、ハチの巣をトマトで煮込んだ料理。この店では、皿の中央にチーズのような白い塊がちょこっとのって登場します。赤と白のコントラストが目に鮮やかで印象的な仕上がりです(880円)。
白の正体は、ふなずしの飯。ふなずしは滋賀の郷土料理で、発酵・熟成させた寿司です。そのご飯をトリッパと混ぜ合わせると、さわやかな酸味が広がります。ハチの巣は厚切りでフワフワとした食感で、食べ応え十分なのに、食後感があっさりなのは、小指の先程度のふなずし効果です。
おなじみのポテサラ(小430円)には、酒粕を用いたサワークリームでアクセントをつけ、さらに豆鼓をちょこっと。サバを締めるのは、白のバルサミコ酢です。これらのひとひねりで、軽い口当たりでサッパリとします。
そうそう、レモンサワーにも発酵パワーが。皮をまるごと食べられる国産レモンの酵素シロップをベースにした4種類あり、そのうちのひとつには、ヨーグルトの乳酸菌を加えて、ドライな口当たりになっています。
マッコリは、日本のどぶろくのような韓国の醸造酒ですが、店にあるのは日本製。そのひとつ、虎マッコリ(ボトル3200円)は、福島にある日本酒の蔵元・有賀醸造のお酒で、辛口のにごり酒を思わせるドライな味が印象的です。料理も酒もとにかく発酵パワーがふんだんで、お腹から元気になる店です。
(取材協力・キイストン)
▽発酵居酒屋 5
東京都港区南青山3―18―3 増田屋 古道B1
℡03・5413・8701
▽GYRO
「食で未来をつくる」を使命としてグループ合計450店舗を運営する。
▽はなみつ・まさまろ 2004年に青山学院大を卒業。その年の8月に屋台からスタートすると、06年にサブライムを設立し、M&Aをテコに事業を拡大。昨年、カフェ・カンパニーと経営統合し、両社の持ち株会社GYRO HDの社長に。