日常を忘れられる「たたずみ酒場」「瀑声」に耳を傾け燗酒をあおる異世界…「おんたき茶屋」は新神戸駅から歩いて15分、眼前の風景はまるで絵画

公開日: 更新日:

おんたき茶屋(兵庫・神戸市)

 物価高は止まらず、正体不明の犯罪グループによる事件が続出。2024年はどうもキナ臭い1年だったが、そんなご時世だからこそ焦らず急がず、一度立ち止まってみてはどうか。本紙記者が、日常を離れて「たたずめる」酒場を探った。

  ◇  ◇  ◇

「都会から近いのに、日常を忘れられる」──。

 斎藤元彦兵庫県知事の失職、再選挙での当選、公職選挙法違反疑惑と、混沌を極める県政を取材する中でキャッチしたのが、この店だった。

 店は、六甲山のふもとに位置する山陽新幹線の新神戸駅の裏手から、山側を約15分歩いた場所にある。「日本三大神滝」の1つである「布引の滝」付近に位置し、たどり着くにはちょっとした山登りが必要だ。布引の滝は雄滝、雌滝、夫婦滝、鼓ケ滝の4つから成り、最上流の雄滝は高さ43メートルの落差を誇る。店名は雄滝にちなんだものだ。

 記者が同地に向かったのは11月下旬の某日午後。晴天だが気温は十数度と肌寒く、午前中に県政取材に駆け回ったせいか、体は芯から冷え切っていた。不安を覚えつつ、高架状の新神戸駅をくぐると「布引の滝 500m」の標識が目に入る。「近いじゃん」と思ったが、すぐに自らの甘い認識を痛感させられた。

 滝へと向かう道筋は舗装されているものの、超急峻で、歩を進めるごとに息は上がり、体力が削られていく。ジャケパンスタイルに革靴で臨んだのは適切ではなかった。ただ、冷え切った体は芯から温まり、気付けば汗だくである。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波