焼肉鳥「gg」を運営 「クーニーズ・アソシエ」の青島邦彰社長の巻<6>
Aging Beef Tokyo 新宿三丁目店(東京・新宿)
米国で発展した熟成肉を黒毛和牛で実現し、熟成肉専門の焼き肉店としてブレークしたのがこちらです。西日暮里の本店が10年前にオープンして以来、新宿や渋谷、吉祥寺、横浜、軽井沢などに店舗を拡大。グリルの店を含めると、12店舗に上ります。
肉の中の酵素がタンパク質を分解し、ウマ味成分のアミノ酸に変化する過程が熟成です。一般には「寝かせる」と表現されます。
しかし、米国の肉と黒毛和牛では肉質が全く異なり、脂肪の質と香りが決定的に違うため、熟成期間の見極めはとても難しい。その技術を追求して、日本で初めて熟成肉専門の焼き肉店を実現した努力がスゴイ。
実は10年前も熟成肉を提供する焼き肉店はありました。その代表の中勢以さんのように、ほとんどが精肉店が母体です。精肉店ではなく、焼き肉店としてスタートしたのが尊敬に値します。
僕も、創業100年を超える食肉卸の老舗・さの萬社長の佐野佳治さんに指導を受け、熟成の技術を学びました。佐野さんは、Aging Beefさんができる以前から米国のニューヨークに何度も足を運び、熟成肉の普及に努めた先駆者。そんなプロのレクチャーを受けただけに、この店の熟成のよさは素晴らしいと断言できます。
盛り合わせで1頭を食べ尽くす
この店では1頭丸ごと仕入れて熟成しているため、いろいろな部位の熟成を楽しめるのがいい。サーロインだけというように、一部の部位のみ熟成している店は、よくあります。すべての部位を熟成しているのは、1頭丸ごと仕入れだから実現できることです。
そのよさを存分に楽しむなら、盛り合わせが一番でしょう。「エイジングおすすめ熟成和牛7種盛り合わせ」(2990円)は、赤身や霜降りを含めて1切れずつ盛り合わせたもので、「最高級熟成和牛5種盛り合わせ」(2490円)は高級な霜降り部位を厳選したもの。「霜降りはちょっと」という方は、「赤身盛り合わせ」(2490円)もいい。
たとえば、「最高級」と「赤身盛り」、さらに「希少部位5種盛り合わせ」(1890円)を頼めば、大体1頭の多くの部位を満遍なく楽しめます。
各テーブルに置かれたシートには、牛の絵とともに肉の部位が書かれています。その絵を参考に味の変化をチェックしてみてください。
※新宿三丁目店は自粛により、営業再開は12日からの予定。西日暮里本店や吉祥寺店などはすでに時短で営業を再開していて、テークアウトもできる。メニューは通常とは変更の可能性もあるためHPなどで確認を。写真は吉祥寺店のもの
(取材協力・キイストン)
■Aging Beef Tokyo 新宿三丁目店
東京都新宿区新宿3―5―4 レインボービレッジビル6階
℡03・6273・2985
▼クーニーズ・アソシエ
「コックがニーズに応える」をコンセプトに、店舗プロデュースやメニュー開発を行う。これまでに手掛けた店舗は数百に上る。
▽青島邦彰(あおしま・くにあき)1970年、神奈川県出身。20歳でフランス料理の道へ。97年、サンライズ・ジャパンレストラン事業部トータルプロデューサーに就任すると、「news DELI」が大ヒット。カフェブームの立役者に。03年、プロデュース会社「クーニーズ・アソシエ」を設立。