NK細胞を活性化して免疫力アップ
焼酎用の種麹(たねこうじ)づくりを一手に担う河内源一郎商店。3代目の山元正博は、焼酎杜氏(とうじ)ががんになりにくいことから麹の力にいち早く気づき、自家製の麹ドリンクを開発。その効果は毎日飲み続けた友人の前立腺がんが消滅するという驚くべきものだった。
これが一度だけなら偶然かもしれない。しかし奇跡は何度も起きた。肝臓がんからの生還、末期胃がんを克服……。
もちろん抗がん剤など西洋医学による治療も併用してのことだが、山元の麹ドリンクを飲んだ後に目に見えて症状が改善した。絶望からのV字回復。患者だけでなく、山元もまたそうした事例が増えることを「ひそかに喜んでいました」。
なぜ麹はがん細胞を消滅させたのか。東大の大学院で抗がん剤の研究をしていたことで、「NK(ナチュラルキラー)細胞」に注目する。NK細胞はリンパ球の一種で、体の中でウイルスに感染した細胞やがん細胞を認識して攻撃する性質がある。
健康な人間の体内でも毎日がん細胞が生まれるが、多くの人ががんにならないのは、このNK細胞が“がんの芽”を素早く摘み取っているからだ。つまりNK細胞が活発であればあるほど免疫力が上がり、がんにかかりにくくなる。山元は麹を体内に取り入れることで、このNK細胞が活性化するのではないかと考えたのだ。
2度にわたって、成人男性の血中NK細胞の数と活性(細胞破壊能力)を測定した。比べたのは麹ドリンクを飲まなかった人、検査の前日に1本だけ飲んだ人、1週間毎日1本飲み続けた人だ。その結果、1週間毎日麹ドリンクを飲み続けると、飲まなかった人に比べて、NK細胞は数にして1.5倍、細胞破壊能力も1.5倍に増えることが明らかになった。合わせればNK細胞による免疫力は2倍以上になるという計算である。
「とある乳酸菌がNK細胞を3割ほど活性化することがわかり話題になりましたが、麹は3割どころか2倍以上。レベルが違います。これは予防医学の常識を破ると期待に胸躍りました」