“食の不一致”が夫婦関係を切り裂く…女性のほぼ半数が重視
「これくらいはガマンしないと」――結婚前はそう思えていたことが、夫婦として生活を重ねるにつれて許せなくなったりする。時間がたつと、じわじわと浮かび上がる性格の不一致だ。新型コロナ禍で夫婦で過ごす時間が長くなったことで、埋められない溝に気づくことがあるようで……。
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タレントの東野幸治(53)は1991年、一般女性と結婚。2女をもうけたが、01年に離婚した。そのいきさつについて先月30日のテレビ番組でこう語った。
「離婚する寸前に、寿司屋で僕がサバのにぎりを食べた瞬間の口元を見て、ゲロを吐きました~離婚という水があふれた原因は、僕の口元です。くちゃくちゃ食べてる」
別れた妻は、東野のくちゃくちゃと音をたてる食べ方や迎え舌が嫌だったらしい。結婚から10年耐えてきても、当時としてはガマンの限界だったのだろう。いろいろな事情があって2人は復縁しているが、離婚になるキッカケは、ニュースをにぎわすようなハデな不倫や浮気より、東野のケースのような生活の中のちょっとしたことがほとんどだ。
2018年度の司法統計によると、婚姻関係事件の動機は、夫も妻も「性格が合わない」がトップ。「異性関係」や「暴力を振るう」を大きく上回っている。その性格の不一致の中でも、食の相性のよしあしは大きな要素だろう。
作家・山本一力氏も日刊ゲンダイのコラム「心が楽になる江戸の知恵」でこう書いている。
「食の好みの不一致。夫婦にあっては、性の不一致にも勝る、難儀ではなかろうか」
■透けて見える義実家の環境
性欲は年とともにやがて衰える。セックスレスの今、「なくていい」という人は珍しくない。しかし、食事は毎日だ。命絶えるまで続く。気にならないような食の不一致が、あるとき2人の関係悪化をキッカケに気になるようになると、“コップ”に少しずつたまっていき、やがてあふれ出す可能性は十分だろう。男女問題研究家の山崎世美子氏が言う。
「食事は、人間の本能に直結する欲望なので、食べるときの言動には人間性が現れやすい。しかも、一人一人の食べ方や好みは、幼いころの家庭環境に左右されます。一度、相手との食の相性の悪さが気になると、相手の人間性だけでなく、そのベースにある実家や親のことまで目につくようになり、火種が大きくなりやすいのです。私のところに来られた相談者に話を聞くと、性格の不一致の中でも、食の不一致は大きい。それをキッカケにほかの不一致が、目につく方も珍しくありません」
新型コロナ禍でテレワークが定着。夫婦どちらが食事を用意するか。食事問題が重くのしかかったといわれる。出社する人も、一杯飲んで帰ることがコロナ前ほどできなくなり、自宅で食事を取ることが増えると、食の不一致があぶり出されるかもしれない。