コロナが揺さぶる60代の働き方 解雇&雇い止めに克つ金策

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 60歳で定年を迎えても希望すれば少なくとも65歳までは働ける。年金の受給年齢引き上げに伴って、定年が延長された。2022年にはさらに70歳まで延びるが、新型コロナ禍は60代の働き方を揺さぶっている。

  ◇  ◇  ◇

「誕生月の8月が契約の更新月で、社長と6月に面談した時は『来期も頑張って』と言われていたのに、7月の半ばになって突然、『想定よりも業績が悪いので、契約は更新できない』と言われたのです」

 こう言うのは、食品卸会社に勤めていた63歳の男性だ。定年後は嘱託社員として1年ごとに契約を更新。コロナ以前は65歳まで勤めるのが当然と思っていたが、コロナが計画を狂わせた。

「取引先の宿泊施設や飲食店は中小企業が多く、Go To キャンペーンの恩恵はそれほどありませんでした。絶望的だった春の穴埋めができなくなり、社長はリストラを決断したらしい。『会社を守るためなんだ。更新はできない。すまない』と……」

 厚労省によると、コロナに関連する解雇や雇い止めは10月23日時点で見込みを含めて6万8140人。前の週より1547人増えていて、全体ではパートや派遣、嘱託などの非正規労働者が半数近い3万3382人を占める。5月の集計から多少の増減はあるにせよ、右肩上がりだ。

 労働契約法第17条によって、有期契約の場合、会社は「やむを得ない事由」がなければ、期間途中に従業員を解雇できない。男性のような期間満了に伴う雇い止めについても、男性の社長のような「来期も頑張って」みたいな期待をさせる発言の有無や契約書の記載内容などによって、雇い止めを回避することができなくもないが、売り上げ急減によるリストラが理由だと難しいのが現状だ。

 60代は他の世代以上に再就職までの道のりが険しい。では、目先の生活を守るには、どうするか。経済評論家の荻原博子氏に聞いた。

「コロナによる解雇や雇い止めは、会社都合の退職になります。それで失業した方は雇用保険から失業手当が支払われますから、自宅のエリアを担当するハローワークで失業手当の手続きをすること。会社都合なら受給までの待機期間は7日間だけですから、すぐにやるべきでしょう」

失業手当は60日延長で“ご褒美”も

 退職前の平均賃金をベースに1日当たりの給付額が決まる。雇用保険の加入日数によって、給付日数が変わるが、コロナ関連による失業は給付日数が60日延長された。

 気になる手当の日額は、「失業前賃金の平均日額」×「給付率(60~64歳は45~80%)」で決まる。平均日額は、ボーナスや手当などを除いた基本給の6カ月分を180で割って計算。給付率に幅があるのは、賃金に関係なく、平均的に支給するためだ。賃金が高いほど多くもらえるわけではない。賃金が低いほど高い給付率になる。

 男性のような60代は、コロナの特例で給付日数は300日。10カ月の間に再就職先を決めることになる。頑張れば、“ご褒美”もあるという。

「たとえば再就職が決まった時、300日の支給日数のうち残日数が3分の1以上、つまり100日以上あって、一定の条件を満たすと、およそ1カ月後に残日数に応じた再就職手当がもらえるのです」

■未払い賃金は8割を取り戻せる

 コロナで企業が受けた被害はだらだらと続いている。雇い止めや解雇に至るまで、場合によっては直前の賃金がストップしているケースもあるだろう。それを取り返せる可能性があるという。

「コロナで倒産した会社に勤めていた方が対象です。それに該当すれば、『未払賃金立替払制度』が使えます。対象者は、労働者健康安全機構に未払い賃金を請求すると、機構は倒産企業に代わって未払い賃金の一部を立て替えてくれるのです」

 該当者は、3つの条件を満たすことが必要だ。①会社が1年以上事業を継続していた②会社が倒産した日から6カ月前の日から2年の間に退職した③未払い賃金について証明や確認を受けた。

 倒産は、法律上の倒産と事実上の倒産に分けられる。法律上の倒産は、裁判所に破産や民事再生、会社更生などの手続き開始を申し立てた日が、倒産した日になり、倒産後も会社が存続することがあるだろう。②の「2年の間」で、倒産から1年6カ月後が含まれるのは、法律上の倒産を想定してのことだ。

「立て替えてもらえる金額は、未払い賃金総額の8割。ただし、限度額を超える場合は、限度額の8割になります。この制度は複雑なので、まずは最寄りの労働基準監督署に相談するといいでしょう」

 ちなみに昨年度は、1991件の倒産で2万3992人を対象に86億3779万円が立て替えられている。単純計算で1人当たり36万円ほど。企業規模で見ると、従業員30人未満の企業が全体の9割を占める。

■貸し付け、家賃補助…公的サポートを活用する

 もう一つは、公的資金の借り入れだ。

「全国にある社会福祉協議会の『生活福祉資金貸付』では、特別貸し付けを用意しています。一つは休業者向けの『緊急小口資金』で最大20万円、もう一つは失業者向けの『総合支援金』で月最大20万円を3カ月間で合計60万円。どちらも、返済期限になっても経済状態が厳しければ、返済が免除されます。協議会に申請するといい」

 住居確保給付金は、失業や廃業で家賃の支払いが苦しくなった人をサポートする制度。各自治体の窓口に申請する。支給上限額は、東京23区の場合、単身世帯は家賃月5万3700円まで、2人世帯は同6万4000円まで。支給期限は原則3カ月で、最長9カ月だ。

 忘れてはならないのは、健康保険だろう。子供の扶養に入れるなら、それでもいいが、再就職を考えているなら任意継続か国民健康保険で、特に国保はメリットが大きいという。

「国保なら、失業や減収に伴う保険料の軽減や延納が可能です。自治体の窓口に相談するといい」 これらのサポートをうまく組み合わせて生活を守りながら、再就職先を探す。もちろん、生活費の節約は欠かせない。コロナショックによる突然の雇い止めや解雇は、徹底的な生活防衛で乗り切ることが大切だ。

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