コロナで収入ダウン…自宅を守る「住宅ローン減額プラン」

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 新型コロナウイルス禍で大打撃を受けた企業が相次いで人件費のカットに踏み切っている。今年度過去最大の5000億円の赤字を見込むANAは、冬のボーナスをカットするほか、社員の年収を平均3割削減する方針だ。ボーナス減を伴う収入減は、幅広い企業に及ぶ。避けて通れない大幅な給料ダウンから生活を守るにはどうするか。

  ◇  ◇  ◇

 ANAの赤字幅は、これまで最大だった2010年3月期(573億円)の9倍近い。人件費の圧縮は、途方もない赤字から会社を立て直す戦略のひとつで、社員の一部はトヨタなどに出向を要請すると報じられた。感染収束後の社員確保を見据え、一時的な措置とはいえ、大企業も決して安泰ではない。

 三菱自動車は、拡大戦略の不振に加えて新型コロナ禍による業績低迷を受け、一般社員1万3000人を対象に冬のボーナスを2・65カ月分から2・05カ月分に削減。冬のボーナスダウンは、リコール隠しによる経営危機で支給ゼロになった04年以来。すでに管理職は本年度の基本給が1割減で、11月には500~600人規模の希望退職を募る予定だという。

 JR民営化以来最大の赤字額2400億円を計上する見込みのJR西日本も、冬のボーナスを2・69カ月分から1・5カ月分に減らすほか、オリエンタルランドは冬のボーナスを7割カットするという。

 労務行政研究所は先月30日、東証1部205社の冬のボーナスが平均74万3968円で、対前年比3・2%減と発表。19年の0・1%減から、マイナス幅が拡大しているが、新型コロナ禍のダメージはもっと深刻だ。

 調査対象は、年間協定で妥結している金額。つまり、夏のボーナス額を交渉する春の時点で妥結されたもの。新型コロナの影響が企業の見通しを上回ったことで、ボーナスの減額発表が相次いでいるのだ。

 経済がコロナ前の“通常運転”に戻るには、ワクチン開発がカギ。今月14日に横浜で開かれたシンポジウムで、実用化は「来年から再来年になる」との見通しが示されたものの、大量生産は「22年後半くらいから」との説明も。ワクチンが国内の隅々に届くまであと3年は覚悟した方がいいだろう。そうなると、来年以降も収入ダウンの生活が続くことになる。

返済方法の変更は3つ。組み合わせも可能

 では、生活を守るためには何をすべきか。

「住宅ローンの支払額を調整するため、すぐに金融機関に相談すべきです」

 こう言うのは、銀行代理業グッドモーゲージ代表の横山信治氏だ。返済方法の変更には、大きく3つある。①離職や病気などで収入が減少し、返済が困難に②一定期間、返済額を減らしたい③ボーナス返済が重い。①は返済期間の延長で月々の負担を減らし、②は一定期間、利息分のみにする、③はボーナス返済額を減らしたり、ボーナス返済をやめて月々の返済を増やしたりして返済額を調整する。

「3つのうち複数を組み合わせることもできますから、とにかくすぐに金融機関に相談することです。なぜそんなに『すぐに』を強調するかというと、一度延滞すると、遅延した分の遅延損害金を請求されるだけでなく、優遇金利の適用が外れる恐れがあるのです。それでも延滞を続けると、ローンは保証会社に回る。保証会社が金融機関への支払いを立て替える代わり、契約者は保証会社からローン残債の一括返済を求められます。それに応じられないと、自宅を競売にかけられ、マイホームを失う恐れがあるのです」

 銀行の残高が不足していて、公共料金の引き落としができなくても、すぐに供給がストップすることはない。それに慣れているような人が、「住宅ローンの支払いも一度くらいミスっても大丈夫だろう」と軽く考えていると、取り返しのつかないことになるのだ。

 そこで返済期間の延長で返済額がどれくらい減るか試算したのが〈表〉だ。3500万円のローンを固定金利1%、35年で元利均等返済すると仮定。20年後の残債を1770万円として返済期間を5年、10年、15年それぞれ延長する場合を想定している。15年延長だと、約10万円の返済額は約4万円減る。手取り月収が50万円の人が収入2割減になっても、ローン返済が6万円なら何とかやりくりできるだろう。

 一方、延滞で優遇金利が外れると痛い。前出の借り入れ条件から20年後の残債1770万円で延滞して優遇金利が外れて、4%の店頭基準金利になったとすると、返済額は13万円超に4万円近くアップする。厳しいときにこの増額はつらいから、「すぐに相談」なのだ。

 高い金利で契約している人なら、より割安なプランに借り換えるのもひとつ。だが、返済期間の期間延長もローンの借り換えも、注意点がある。経済評論家の荻原博子氏が言う。

「50、60代の契約者が返済期間を10年、20年と延長すると、返済が年金受給年齢と重なります。また、ソニー銀行のように85歳までローン契約が可能な金融機関も登場。フラット50といった最長50年ローンもあります。いずれにしても、住宅ローンが残ったまま年金暮らしに突入すると、生活が破綻しやすいのです」

 日経新聞によると、住宅ローンの完済年齢は20年前より5歳上がって73歳になっている。すでにこの状態なのに、さらなる返済期間の延長だと、死ぬまでローンを抱えているようなものだ。その記事によれば、60歳時点の平均残債は、20年前より600万円増の1300万円に上るという。

保険、携帯、車、養育費。生活見直しは?

 そんな状況だけに、抜本的な生活の見直しが欠かせない。荻原氏に聞いた。どんな人にも共通するのが保険と携帯の見直しで、まず保険から。

「保険は、死亡保障と医療保障の見直しです。子供が大きければ、高額な死亡保障は必要ありません。子供がいなくても50代夫婦なら、そうでしょう。医療保障も同じで、日本には高額療養費制度があり、一定額を超えた分は公的保険でカバーされます。それを活用すれば、医療保険もそんなに手厚い保障は不要なのです」

 携帯は?

菅政権の意向で大手3キャリアーの料金プランがどうなるかはともかく、どんなに下がっても格安業者を下回ることはないはずです。格安業者に切り替える方がいい」

 次は、車と教育費だ。

「車は購入時の初期費用だけでなく、駐車場代や保険料、ガソリン代、税金、車検代などもかかります。仕事で毎日使う人は別にして、サンデードライバーはレンタカーやカーシェアに切り替えると、家計の節約効果はとても大きい。今の時代、子供の教育費も“聖域”ではありません。教育ローンと塾の月謝は守るとしても、習い事は1つに絞るべきでしょう」

 住宅ローンの返済の見直しと生活の中での節約のほか、収入アップを考えることも大切だ。

「共働きの強化です。夫が主たる働き手なら、妻のパートを増やすか子供のバイト収入から1万円でも2万円でも家庭に入れるようにして、収入を増やす努力が不可欠。もちろん夫が副業を始めるのもいいでしょう。そうしながら夫の収入が回復したら、返済期間を元に戻して返済額を増やしたり、繰り上げ返済したりして、なるべく年金暮らしに入る前での住宅ローン完済を目指すのが無難です」

 今こそ家族が団結するときだ。

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