農薬の毒性に迫る最先端の研究成果…動物実験では精巣破壊
5回目で、農薬の見えない毒性が少しずつ分かってきていると書いたが最先端の研究成果を少しだけ紹介したい。
前もってお断りするがこうした実験は人間で行うわけにはいかず、ほとんどラットやマウスを使っている。同じ哺乳類のマウスで起こることは、人間でも起こりうるからだ。
ネオニコチノイド(ネオニコ)という農薬が残留した野菜と一緒にハンバーグなどの高脂肪食を食べると肥満が1・5倍加速すると書いたが、そうなるのは農薬によって腸内細菌叢が変わるからだ。抗生物質を飲んでも腸内細菌叢は変わるが、農薬でも変わる。
では、他にどう変わるかというと、まず免疫に影響を与える。人間の腸には1000兆個ともいわれる腸内細菌がいる。免疫細胞の7割は腸の消化管にいるが、これを活性化しているのが腸内細菌だ。
ラットにこの農薬を投与すると、腸内細菌叢が変わって免疫系が撹乱され、炎症を抑える善玉菌が減った。免疫系が撹乱されて炎症を抑える菌が減れば、免疫系は敵と味方が分からなくなり、自己免疫疾患やアトピー性皮膚炎などになりやすい。