オンライン会議 デキるサラリーマンは「間」で差をつける

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 国が15年も前から推進してきたテレワークが新型コロナで一気に加速した。会議や取引先との打ち合わせ、そして採用活動までもZoomをはじめとしたウェブ会議が欠かせない。だが、画面越しのコミュニケーションは悩みも多い――。(構成・小野真依子/日刊ゲンダイ)

 ◇  ◇  ◇

 オンライン会議は移動時間の短縮や録画を見返せるなどメリットもあるが、一方で画面越しならではの悩みも出てきた。

 営業マンからは「相手の反応が把握しにくい」「1人ずつしか話せないので雑談できない」「意見を挟みづらい」「沈黙が気まずい」といった声も聞こえてくる。そこでANAで教育訓練インストラクターを務めた人材育成・コミュニケーション専門家の桑野麻衣氏に「営業」「転職」をテーマにオンラインで成果につながるコミュニケーションのコツを聞いた。

「前提として、対面とオンラインは手段の違いであってゴールは同じです。結局、相手に好かれて信頼される振る舞いができれば商談もまとまりますし、面接も突破しやすくなります。ただし、対面が五感のコミュニケーションなのに対し、オンラインは視覚と聴覚のみのコミュニケーションになります。細かな礼儀作法や空気を読む能力が高くても、それだけでは評価されにくく、いかに自分を“表現”できるかが成功の秘訣となります」

 相手の気分を害さないように曖昧に伝えたり、言わなくても察してくれる……という甘えは捨て、勇気を持って言葉にする。「このように理解しましたが、この認識で合っていますか?」といった具合だ。これが対面とオンラインの大きな違いだ。

「沈黙になったら休憩タイムを提案します」

【営業編】4人以上の参加なら進行役を付ける

 対面のコミュニケーションでは、取引先との場を和ませるために雑談タイムが重視されてきた。「今日は一段と冷えますね」「佐藤さんは登山が趣味と聞きましたが」といった具合だが、オンラインでは相手をイラつかせかねない。

「ウェブ会議は、時間を設定していることもあって、結論を急ぐ傾向にあります。雑談タイムを設けることは問題ないのですが、プライベートの話題よりも、『御社のリモートワーク体制は?』といった企業のヒアリングにもつながる話題を振るほうがスムーズです」

 商談も4人を超えたらファシリテーター(進行役)を設定するといい。1人が話し過ぎると、意見を挟むタイミングを逃しやすく、積極的な意見交換が難しくなるからだ。

「取引先には事前に参加人数の確認をし、4人以上になる場合は進行役が打ち合わせの冒頭に、本日の議題と時間の確認を行うといいでしょう。ルールを決めていれば、1人の話が間延びしても相手の気分を害さずに『別に〇〇さんの意見もお聞きしたいです』と自然に促せます」

 取引先に質問を投げたら話に詰まってしまった。オンラインは相手の顔色をうかがえず、リアル以上に沈黙に焦ってしまう。「間」を埋めようとしてヘンに取り繕ってしまうが……。

「むしろ『間』ができたときこそ、コミュニケーションに差をつけるチャンスです。相手に考えてもらう時間や心を解きほぐす時間をつくれるからです。無理に話を続けたり、話題を変えるのではなく、『どんな部分が分かりにくかったですか?』と寄り添って質問しなおしたり、『5分ほど休憩を挟みましょうか』と提案します。限られた時間と空間で信頼や好感を得るには、相手に話のボールを渡せる姿勢を見せること。どうしても、オンラインで主張すると押し売り感が出てしまうので、やりづらさを感じやすい。気まずい場を相手に寄り添った表現を示すことで、良い関係性を築きやすくなります」

 声に出さない部分でも、話を聞いているアピールは大事だ。画面越しだと無表情になったり、あいづちを打っても「話を聞いていない」と思われがちだ。

「オンラインは、視覚と聴覚の二感しかないので、対面以上に視覚情報が伝わります。顔の表情は分かりにくいため、あいづちが重要。小刻みなうなずきは画面越しでは伝わりませんし、オーバーリアクションは相手の集中力を欠いてしまう。『上下に縦に大きく1回』程度で構いません。聞いてくれているなという印象を残します」

【転職の面接編】画面越しでは「印象力が9割」

 採用にもオンライン面接は普及している。中途採用における「オンライン選考実態調査」(エン・ジャパン)によると、転職コンサルタントの3割が「半数以上の企業が最終面接を含め、すべてオンラインで実施」と回答し、残るうちの6割も「半数以上の企業で何らかのオンライン面接を実施」としている。

 その際、非言語情報での判断の難しさも課題だ。ミスマッチなく転職活動をするためにはどうすべきか――。

「対面以上に事前準備がポイントになります。視覚と聴覚で人となりを伝えるわけですから、印象力が9割です。普段、私たちは芸能人やユーチューバーに対しての印象も、身だしなみやうなずき、表情、目線の高さ、口癖や言葉の語尾などを画面を通して判断してしまいますよね」

 そのためには“道具”を使ったテクニックが必要だ。

「商談のときも同じことが言えますが、4つの下準備を紹介します。1つ目は、画面の明るさです。顔が暗いと血色がないように見えてしまい、性格そのものも暗く見えたり、消極的な印象にもつながります。逆光にならない部屋や角度を意識しましょう。2つ目は、目線の高さです。机にパソコンを置いた状態だと視線が上から見下ろす状態になります。パソコンの下に台を置くなどで対応も可能です。3つ目は、画面はバストアップで映ること。画面から顔が遠い人が多く見受けられます。表情が見えないと何を考えているか分からない、やる気がない、という印象を与えてしまいます。4つ目は、背景です。パッと見の印象で、画面越しに見える背景も自分の印象の一部になります。相手がミーティングに集中できないほど後ろに物が散らかっていたり、動いていたりというのは避けることをおすすめします。また、不動産業界なら理想の部屋、旅行業界なら行きたい国を事前に背景に設定するなど、関連する背景なら会話の糸口になることもあります」

 音声や電波状況のチェックも欠かさない。これは企業側にもいえる。

「新卒や中途採用のオンライン面接官になる方もいると思います。面談中に音が途切れたり、画像が乱れることが続くと受験者は『この会社は時代に対応できているのか』と不安になることがあります。また、ミスマッチを防ぐために1つの質問の深掘りをするのもおすすめ。『どうしてそう思ったのですか?』と繰り返し聞いていく中で、どれだけ考えてきたのか本音の部分が見えてきます。緊張していたら、『いまの質問の意味が分かりますか?』と気遣いを見せる。これも商談と同じです。なるべく受験者には質問してもらいましょう。どんな質問をするかで入社意欲も測れますし、相手にも会社のイメージが伝わります」

 うまく活用すれば対面以上に効率よく結果を出せる。

▽桑野麻衣(くわの・まい) 1984年生まれ。学習院大卒業後、ANA入社。7年間で100万人を超えるお客さまサービスに携わる。その後、ジャパネットたかたや再春館製薬所グループで教育研修を担当し、独立。現在は企業研修や講演などを行い、受講者は3万人を超える。新刊「オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方」(クロスメディア・パブリッシング)を上梓。

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