素朴な疑問「まん延防止」と「緊急事態宣言」は何が違う?

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 政府は大阪府、兵庫県、宮城県に対し、新型コロナウイルス対策として「まん延防止等重点措置」を適用した。期間は5月5日までの1カ月間。首相(政府対策本部長)の「緊急事態宣言」に準じた措置といわれるが、違いがいまひとつピンとこない。何がどう違うのか?

  ◇  ◇  ◇

 天気予報でいうところの「警報」と「注意報」のようなものになる。

 2月13日施行の「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)で新たに加わった「まん延防止等重点措置」。違反者が罰則(過料)を科せられるのは緊急事態宣言と同じだが、緊急事態宣言は国民の権利を大幅に制限することもあるため、その前段としての位置づけになる。

 では、「緊急事態」と「まん延防止」では何がどう違うのか。

■住民の行動制限

 緊急事態宣言下では、知事は住民に厳しい行動制限を加えられる。

「知事は住民に対し、生活の維持に必要な場合を除き外出しないことを要請することができる」(特措法45条1項)。「学校、社会福祉施設、興行場その他の多数の者が利用する当該施設の制限、停止を要請することができる」(同45条2項)。「買い占め等防止法、国民生活安定緊急措置法、物価統制令の適切な措置」(同59条)。あくまで協力という建前ではあるが、自宅からの夜間外出禁止などもできてしまう。

 これに対し「まん延防止」は、「知事は住民に対し、(飲食店などの)営業時間以外の時間にみだりに出入りしないことを要請できる」としている。これによれば店に行ってはいけないのは営業時間以外の時間で、しかも要請レベルだ。

■飲食店などの対策

 昨年4~5月の1度目の緊急事態宣言では、学校の休校、百貨店や映画館、カラオケボックス、スポーツクラブ、パチンコ店など24業種に休業が要請された。

 娯楽が制限され、子供たちのストレスもピークだったが、2度目の宣言では、一部飲食店舗を除き、パチンコ店の店名公表のような“見せしめ的”な規制は行われなかった。

 一方、まん延防止では「従業員への検査の勧奨」「感染防止のための客の整理や誘導」「発熱や症状がある者の入場禁止」「消毒設備の設置」「マスク着用その他の対策の周知」「マスク着用などをしない者の入場禁止」など対策を講じた上で、店に対しては「営業時間の変更等を要請、要請に応じないときは命令」できるとなっている。

「具体的な対策例としては、飲食店における20時までの時短、イベントの人数制限、アクリル板の設置、モニタリング検査(見回り隊)の拡充などがあります」(内閣府担当者)

 要請や命令に従わない場合、事業者名を公表することができる。

■従わない時の罰則

 まん延防止では、正当な理由なく、時短要請などに従わなかった飲食店などは、20万円以下の過料が科せられる。ただし、要請できるのは営業時間の短縮のみで、休業要請などはできない。

 これに対し緊急事態宣言は、命令に従わなかった場合は30万円以下の過料。コンサートの中止を知事が命令したにもかかわらず強行した場合はこれに該当する。

 一方、住民に対する罰則は改正新型インフルエンザ特措法で新設された。積極的疫学調査に対して正当な理由なく協力をしなかったり、虚偽の答弁をすると30万円以下の過料。入院先から逃げた場合は、50万円以下の過料となる。1年以下の懲役も検討されたが、国会審議で修正されている。

国は感染予防を地方に丸投げ

■対象になる地域

 緊急事態宣言の対象地域の単位は「都道府県」。これに対し、まん延防止は「市区町村など特定の地域を限定して措置を講ずること」ができる。

 極端に言えば、「新宿歌舞伎町」や「大阪キタ」といったピンポイントでの地域指定も可能。また対策の必要がなくなれば速やかに終了を公示できる。

 緊急事態の終了は国会に報告する必要があった。

■措置の実施の目安

 緊急事態宣言の発出の目安は、ステージ4。爆発的な感染拡大、及び医療体制の機能不全があり、具体的には病床の逼迫(50%以上)、週の新規報告数が10万人当たり25人などがこれにあたる。

 一方、まん延防止はステージ3、またはステージ2でも適用される。ステージ3の目安は病床の逼迫(20%)、新規報告数は10万人当たり15人。形式上は、まん延してしまう前にする措置であることから、感染者の漸増、医療への負荷が蓄積というステージ2でも総合的に判断される。

 東京都の新規報告者数は直近1週間でステージ3の条件を上回っており、小池都知事は「あらゆる方策を想定し検討を進める」と実施に前向きな姿勢を見せている。

■営業短縮への協力金

 兵庫県では神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市の対象地域内にある飲食店などに対して、酒類提供は夜7時、営業時間は8時までにするよう要請している。これは県独自の基準ではなく、国からの指導によるもの。協力金はこれまで一律4万円だったが、まん延防止では売上高に応じて差を付けている。前年度または前々年度の1日当たりの売上高が10万円以下の店舗は一律4万円、10万~25万円の店舗は売り上げ平均の40%、25万円以上の店舗は一律10万円とした。また、チェーン店などの大企業は、1日当たりの売上高減少分の40%を支給する(上限20万円※中小企業店舗でもこちらを選ぶことが可)。

「指定した神戸、尼崎、西宮、芦屋市の飲食店など1万6000店舗を対象に見回りを行っております。見回りは民間事業者に委託し、調査員は県の特別職非常勤職員の身分で、アクリル板が設置されているか、定期的な換気が行われているかなど8項目をチェックしており、不十分な店舗には改善を求めます」(兵庫県災害対策課)

 大阪府では府内全域に夜9時までの時短営業を要請。大阪市は特に8時(酒類は7時)までにお願いしている。さらにマスク会食を義務化し、ご飯を食べる際もヒモを上下させてマスクを外してはならない。何だか食べにくそうだが、調査員に発見されれば入店禁止の措置になる可能性もある。客と調査員がケンカにならないのか少し心配だ。

 いずれにせよ、極めて限定的な「まん延防止等重点措置」を実施しても効果はさほど期待できない。肝心の国も対策を地方の知事に「丸投げ」しているように映る。 

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