公衆電話の底力を知る 災害時の連絡、無料Wi-Fiスポット化も

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 携帯電話の普及で公衆電話を使う機会は、ガクンと減っている。そんな状況を受けて、公衆電話の設置台数は、現在の10万9000台から2万7000台へと4分の1に削減されるという。今や影が薄い立場だが、イザというときに役立つ。その実力を知っておこう。

 ◇  ◇  ◇

 公衆電話は、社会生活の安全や戸外での通信手段の確保から、総務省が設置基準を定めている。市街地では500メートル四方に1台、それ以外は1キロ四方に1台。新基準ではそれぞれ1キロ四方、2キロ四方に緩和される。新基準での台数は、徒歩圏内にある小学校や郵便局の数と変わらず、妥当と判断した。

 ちょっと古いが、日本公衆電話会東京統括支部が2011年2月にまとめた「公衆電話の利用実態、安全マップ及びこども手帳の活用状況等に関するアンケート」によると、最近1年間に公衆電話を使ったことがある人は4割。性別や年代に大きな差はない。利用する人は半分以上が年に数回以上使っている。5人に1人は1年に何度か利用するイメージだ。

 アラフィフの記者が学生だった30年前は、携帯が普及しておらず、財布には50度数のテレホンカードが何枚かあり、外出先から友人や彼女への連絡に公衆電話が欠かせなかった。当時と比べると、利用頻度は格段に少なくなったとはいえ、まだまだ利用価値は十分にある。

「地震などの災害が発生すると、家族や友人との安否確認などで電話回線が混み合い、通信規制が実施されることがあります。その場合でも、公衆電話は規制の対象外で優先的に取り扱われるのです。たとえば、携帯回線がパンクしているようなときは、近くの公衆電話から実家の固定電話にかけると、つながりやすいかもしれません」

 こう言うのは、NTT東日本の広報担当者だ。災害でなくても、クリスマスや元日などは挨拶の連絡が駆け巡り、回線が混みやすい。スポーツの国際大会などで日本が勝利したときなども、そうだろう。そんなとき、すぐに相手と連絡を取りたければ、公衆電話を使うのが手だという。同担当者に聞いた。

■NTTの通信ビルから電力が。停電時もOK

 3年前の北海道胆振東部地震では、北海道のほぼ全域がブラックアウトに見舞われた。地震発生から50時間後に99%は復旧したが、電力供給は十分ではなく、節電を余儀なくされたのは記憶に新しい。地震大国の日本であの悲劇がないとはいえない。充電の切れた携帯は、まったく無意味。そんなときこそ、公衆電話だ。

「公衆電話は、NTT東日本・西日本の通信ビルから電話回線を通じて電力の供給を受けているため、停電時でも硬貨を入れれば電話をかけることができます」

 これは心強い。地震で電線が切れて自宅が停電しても、公衆電話なら通話ができる。このことは覚えておくといい。親が住む実家の固定電話のそばには、万が一に備えて後で触れることも含めてメモを張っておくのが無難だ。

 公衆電話には、デジタル式とアナログ式があって、液晶ディスプレーがあるのがデジタル式で、ないのがアナログ式だ。停電時はデジタル式の液晶ディスプレーも、アナログ式の赤ランプも消えているが、通話はできるという。

■デジタルとアナログで異なる緊急通報

 もう一つチェックしておきたいのが、緊急通報のかけ方と災害発生時の無料化措置の使い方だ。まず緊急通報について。110番(警察)、118番(海上保安)、119番(消防、救急)などの通話で、公衆電話からは無料でかけられる。

●デジタル公衆電話→受話器を上げて、それぞれの番号を押す。

●アナログ公衆電話→受話器を上げて緊急通報ボタンを押してから、それぞれの番号を押す。

「緊急通報ボタンがあるのは、アナログ公衆電話のみです」

 液晶ディスプレーと緊急通報ボタンの有無で、公衆電話がデジタル式かアナログ式か見分けるといいだろう。

大規模災害時は無料の可能性も

 災害救助法が適用されるような大規模災害が発生し、広く停電が起きた場合は、被災者の通話を確保するため、NTT東日本・西日本が公衆電話の通話を無料にすることがある。それが、災害発生時の無料化措置だ。

 公衆電話が無料となると、どうやってかけるのか。

●デジタル公衆電話→硬貨やテレホンカードは不要。受話器を上げて、そのまま電話番号をダイヤルすればかかる。

●アナログ公衆電話→受話器を上げて、硬貨かテレホンカードをいったん投入。電話番号をダイヤルして通話すると、終了後に硬貨やテレホンカードがそのまま返却される。

「無料通話を実施するか、そのエリアはどうなるかといったことは、災害や停電などの状況を総合的に判断した上で決まります。市中の公衆電話が災害時に必ず無料になるということではありません。しかし、各自治体の小中学校や公共施設などに設置される災害時用公衆電話(特設公衆電話)は、無料でお使いいただけます。もちろん、停電時も通話可能です」

 災害時用公衆電話は、通常は施設に保管されていて、災害時にのみ取り出されて回線が通じる。その設置場所は、NTT東日本・西日本の㏋で確認できる。あらかじめ調べておくといい。こうしてみると、災害で停電が生じると、公衆電話が通話の肝になることがわかる。それが無料ならラッキーだが、そうでなくても回線が優先されるのはうれしいだろう。

「しかし、公衆電話からかける人の回線が優遇されても、相手の回線や電波が悪いと、つながりません」

 そんなときは、公衆電話から災害用伝言ダイヤルに音声メッセージを録音するといい。

 たとえば、被災したAさんがBさんに無事を知らせる音声メッセージを残す場合、「171」の後に「1」をダイヤルして、自分の自宅か携帯の番号を入力して、メッセージを登録する。BさんがAさんの安否を確認するときは、「171」の後に「2」を入力し、Aさんの自宅か携帯の番号をダイヤルすると、メッセージを再生できる。料金は無料だ。

 離れて暮らす家族がいる人などは、あらかじめ「回線がパンクしたら、災害用伝言ダイヤルにメッセージを残す」といった取り決めをしておくのが無難だ。

電話ボックス周辺が無料Wi-Fiに

 さらに便利なことがほかにもある。

「NTT東日本は、管内の電話ボックスの無料Wi-Fiスポット化を進めています」

 メッセージアプリなどで音声やビデオで通話するなら、電話ボックスの中や周りで話せば通信量の節約になる。Wi-Fiスポットの電話ボックスには、フリーWi-Fiのシールが貼られているのが目印だ。

■使い方を知らない小学生が85%、GW中にレクチャーを

 イザというときに役立つ公衆電話だが、生まれたときから携帯電話がある小学生は85%が使ったことがない。学校や塾の途中で被災して携帯回線がパンクすると、連絡を取れなくなるリスクが高い。そうなると、親も子供も不安だ。この連休中に、子供を公衆電話に連れていき、受話器を上げて、硬貨を投入するといった基本的なレクチャーをしておくといいかもしれない。

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