3人に1人が運動不足 “無動さん”が重い腰を上げる3ステップ

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 今年の健康診断はひどかった……。コロナ禍が広がって1年、長引く自粛生活で体を動かさなくなったせいか、コロナ太りになる人が相次いでいる。その結果、健診結果が悪化しているのだろうが、これだけ腰が重くなると、「やらなきゃ」と思いつつも体を動かすのは難しいだろう。どうするか。

■2週間で下半身の筋肉が2割前後ダウン

 スポーツ庁の調査によると新型コロナウイルス感染拡大前と後を比べて、健康度が「低下した」人は、「向上した」人より9ポイント増の22%。体力が「低下した」、運動不足解消状況が「低下した」はともに30%台で、3人に1人が運動不足と体力低下を感じている。

 スポーツを実施する意欲は「高くなった」が23%。テレワークで浮いた通勤時間の有効活用で、より活動的になっている人も中にはいるが、運動不足が多数派。ちょっとのつもりの“休憩”が、このまま続くのはマズいだろう。

 早大スポーツ科学学術院の川上泰雄教授は、宇宙飛行士が宇宙ステーションに長期滞在した場合の体の変化をシミュレーション。無重力状態の再現には、被験者にほぼ寝たきりの生活を3週間続けてもらった。すると実験スタートから2週間で太ももの筋肉が14%も低下。一般に成人は加齢によって太ももの筋肉は1年で0・5%減る。つまり、運動をまったくしないでいると1日で加齢による筋肉ダウンの2年分に相当するというのだ。

 デンマーク・コペンハーゲン大の研究結果はさらに厳しい。運動しない場合の下半身の筋肉量の低下を調査したところ、2週間で20代は28%、高齢者は23%低下したという。

 いずれにしても短期間で、この結果ということは、コロナ禍の今、運動不足の人は筋肉がもっと減っていても不思議じゃない。

「運動をまったくしないのは大げさ」と思うかもしれない。通勤すれば、自宅から駅まで歩き、階段を使ってホームに行って、電車に乗る。駅に着けば、会社まで歩く。仕事中も社内を移動し、昼にはランチに出かける。仕事が終われば、一杯飲んだり、趣味の時間に使ったりして、家に帰る。そうした運動が、テレワークだとすべてパーになりかねない。

 記者の妻は、根が出無精で買い物以外は自宅から出なくなり、スマホの歩数計が100歩に満たないことが増えた。もちろん、カウントされていない自宅内での移動はあるが、それを加えても1000歩には遠く及ばない。運動をしなくなった人にとって、「まったく」は決して大げさではないだろう。

月1回のランニングで死亡リスクが27%低下

「運動しない人に、どんなに『やりましょう』と言っても、やりません。最低限、週に1回歩いたり、走ったりする有酸素運動をすることから始めるといい。筋肉をキープするなら、30秒ダンス。筋肉を増やそうと思うと大変ですが、中高年は加齢による衰えが深刻ですから、キープするだけで十分意味があります」

 こう言うのは、ボディープロデュース「レインボー」(大阪市)代表の松崎由江さんだ。松崎さんはトレーナーとして30年近いキャリアを持ち、米NBAレイカーズで指導したこともある。プロ中のプロが、「運動不足解消は、ごく簡単なことでいい」と断言する。

 松崎さんの言葉を裏づけるのが、豪ビクトリア大の研究だ。約23万人を5年半から35年にわたって追跡した結果、1週間に50分以下のランニングでも、頻繁に走る人と同等の効果が判明。走らない人と比べると、月1回のランニングで早期死亡リスクが27%低下したという。なるほど、たとえ週イチの運動でも、やらないより間違いなくプラスなのだ。

 松崎さんは店舗のほかオンラインでしっかりカウンセリングして、その人の目的や体の状態に合わせたトレーニングメニューを組む。そのひとり、90歳の人は月イチメニューで血液検査の数値が改善。84歳の人は週イチメニューで自宅の階段の上り下りができるようになったという。

「運動は長く続けないと意味がありません。そのためには、最低限のメニューで一定の効果を上げるのが肝心。これに尽きます」

 では、コロナ禍でまったく運動をしなくなった“無動さん”は、何から始めればいいか。楽チンメニューを教えてもらおう。

「歩く、ストレッチ、30秒筋トレ。この3つを、3日に分けて行うといいでしょう。『走るぞ』『痩せるぞ』といったように自分を追い込むことはせず、気軽に楽しく続けられるメニューです」 具体的に見ていこう。

元NBAトレーナーが楽チンメニューを解説

■1日目 歩く 距離・歩数計は気にしない

 出かける前に準備運動として手や足の筋を伸ばしたら、出発だ。

「歩きでも自転車でもいい。走れる人は、走ってもよし。それぞれ30分です。でも、距離や歩数計など数字は見ないようにしましょう。そういうことを気にすると、より高い目標を意識するようになり、少しずつ面倒くさくなります。縛りは30分という時間のみです」

 気になる店が目についたら、「今度、のぞいてみよう」くらいの気軽さが重要だ。

■2日目 ストレッチ 足から尻をしっかりと

 首→腕→わきの下→足と上半身から下半身の順に写真の通り1カ所30秒ずつ。

「足からお尻の筋肉が張っていると、転びやすいし、ケガをしやすい。最後の足のストレッチは何種類かやるのもお勧め」

 このストレッチは週イチではなく、何度かやってもいい。

■3日目 30秒ダンス 足の指で床を踏ん張って

“無動さん”は筋トレという文字を見るのも嫌だろう。でも、わずか30秒だ。このくらいなら、できるはず。そのメニューは、ほぼダンスだ。腕立てや腹筋といった古典的な筋トレのイメージが覆される。

「そう、腕を振ったり、ステップを踏んだりするダンスのような動きも筋肉が刺激されてトレーニングになります。ウチに来られている70代や80代の方も楽しんで続けていますから、ぜひ。コツは動かす部分は力を込めること。足が床についているときは、指で床をとらえるようなイメージで踏ん張るのがもうひとつです。ダラーッと怠けるような意識でやってはいけません」

 別掲のQRコードから動画を見て、やってみるといい。動きを覚えるまでは松崎さんと同じペースではなく、自分のペースでゆっくりでよし。

「体力に合わせて、休まず3~5回続けると意外と効きますよ」

 ◇  ◇  ◇

 体力の衰えた中高年の“救世主”だけはある。楽にできるメニューばかり。“無動さん”、レッツダンス!

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