石塚集
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石塚集

医学系編集プロダクション経営。医学ライター。東洋美術学校・ユーザーエクスペリエンス(UX)担当講師。テクノロジー系勉強会・湯川塾事務局。「AI新聞」副編集長。新宿・歌舞伎町でバーテンダーもしている。

文京区の地域振興を副業に 3.11の復興ボランティアで気づいた自分のやりたかったこと

公開日: 更新日:

竹形誠司さん(57歳)本業=プログラマー

 竹形誠司さんは大学卒業後、就職せずにいきなり独立し、プログラミング、テクニカルライティングのプロの道に進んで33年。あるキッカケから、今は文京区で地域振興を副業にしている。

「僕の出身は千葉県千葉市です。23歳ですぐに起業して会社は33期目です。大学を卒業した時はバブル真っ盛り。有名な会社や待遇のよい会社に入れる選択肢もあったのですが、一人でやっていけそうな気がして独立を選びました。シンセサイザーの音色が記録してあるアナログデータを、音楽のプログラミング規格であるMIDIに変換する仕事や、Windowsの開発者向けの技術文書を日本語に翻訳する仕事、投資データを集約して帳票化する仕事などをしてきました」

 竹形さんはコンピューターと印刷の両方に詳しく、「JSP帳票アプリケーション実践開発入門」など著作を多く持つ。それがなぜ地域振興に興味を持ったのか。

「きっかけは東日本大震災です。データを扱うエンジニアという気質もあって、東日本大震災の直後は原発の放射線量が気になって仕方がありませんでした。原発反対のデモにも参加しましたが、納得感がなかった。それで東北にボランティアに行きました。僕が参加したのは道の側溝に埋まった泥などをかき出すグループでした。リーダーはおらず、気持ちはあるけれどやり方も知らない人たちが集まった集団でした。毎日新しい人は来るし、帰る人もいる。でも、なんとなくルールができてくるんです。体力ある人はマンホールの蓋をどかし続ける係になったり。作業後に地図を作って、一日の仕事や課題をシェアする人がいたり。統率のとれたボランティアや自衛隊の人たちとは違う合理化が起きていました」

個人の助け合いを信じてオフィスを開放

 その経験が、会社員を選ばなかったかつての感覚とつながったという。

「フリーで仕事をしてきたのも、人を使ったり、使われるという感覚が馴染まなかったからなんです。自立的に個人が判断して行動する方が納得感も高いし、効率的な部分も多いと思っています。ボランティアで経験した組織のあり方って、自分が長年やりたかったことだと気づいた。それで、自分の住んでいる地域にもそれをインストールしたくなったんです」

 竹形さんは自分のオフィスを「HONGO22515」と名づけて地域に開放。自立する地域活動を模索している。

「『文京まちたいわ』というネットワークの事務局を担当して、月に1度、ミーティングをしています。地域には企業、個人商店、ボランティア団体などさまざまな主体がいますが、ニーズが複雑に入り交じっています。それらの情報を可視化させ、対話の場を設けることで、主体の交じり合いが自然に起きるよう促しています。場所が必要な人にはオフィスのカードキーも渡しています。自分に余裕があったら人を助け、自分が助けてほしかったら遠慮せずに言ってみる。贈与経済で言う余剰をパス(渡す)していく感覚。震災ボランティアの経験で、人はそれができると確信しました」

 地域活動による収入を聞いた。

「地域活動を支援する中で、動画制作、Web制作、印刷物などのニーズがあり、企業や団体から仕事をもらうことがあります。これらで月に数万円程度です。あと、私を応援してくれる人からカンパが少々(笑い)。リアルな場所づくりはできたので、次はSNSと地域通貨の導入を目指しています」

 地域活動は今後どのように自立的に変化していくのか。定期的に見ていきたいと思った。 

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