「中古車購入」初心者が失敗しない目利き力、走行距離より記録簿が重要

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 新車販売が空前の低空飛行だ。10月の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は前年同月比31%減の27万9341台。10月としては、1968年の統計開始以来、過去最低だ。世界的な部品不足の影響で、車種によっては納車まで1年半から2年かかるケースもあるという。その余波で伸びているのが、中古車だ。では、状態のいい中古車を選ぶには、どうするか。自動車ジャーナリストの横田晃氏に、目利きのコツを聞いた。

  ◇  ◇  ◇

「中古車は、ボディーやエンジンの状態、走行距離など一台一台、状態が違います。特に一般の中古車販売店で購入する場合は、目利き力がとても重要です」

 希望の車種が決まれば、まず気になるのは事故歴や年式、走行距離などだろう。その中で走行距離は長いほど車体が傷んでいるイメージがあり、敬遠されるが、重要ではないという。

「走行距離は5万キロを超えると、価格が大きく下がりますが、距離はあまり気にする必要ありません。メンテナンスさえしっかりされている日本車は、10万キロを超えても問題なく走ります。タクシーは50万キロ、トラックは100万キロを超えて走るケースがザラですから。逆に安くて状態のいい掘り出しものを見つけるなら、走行距離の長い中古車から、メンテナンスをよくされたものをチョイスするといい。修理や整備の状況を確認する材料が、『定期点検整備記録簿』です」

 修理などの状況は、「自動車業における表示に関する公正競争規約及び同施行規則」によって表示が義務づけられている。そのため定期点検整備記録簿には、12カ月点検や24カ月点検などの車検で行われた整備情報などを必ず記入する。車検以外での修理や整備を行ったときもしかり。記録簿を見れば、前のオーナーがどれくらいの頻度で整備したか、エンジンオイルの交換時期はいつかなどを知ることができる仕組みだ。

「記録簿がある車は、点検や整備が行き届いていることが多く、購入後のトラブルが少ない。記録簿の有無を店員に確認して、ある車を選ぶことが大切です。紛失や破棄などで記録簿がないケースもあります」

■高年式で新車時のメーカー保証が残っている

 新車のメーカー保証には、エアコンやオーディオ、ワイヤレスロック、パワーウインドーなどをカバーする「一般保証」と、エンジンやステアリング、エアバッグなどを対象とする「特別保証」がある。前者は「新車から3年以内または走行6万キロ以内」で、後者は「新車から5年以内または10万キロ以内」だ。

「高年式の中古車は、新車時のメーカー保証が残っていることがありますから、中古で購入してもそれらを引き継ぐことができます」

 一般の中古車販売店で買った場合は、ディーラーで料金を払って保証を引き継ぐ手続きが必要だが、安全な車を選ぶ上では必要経費だろう。

 ちなみにメーカー保証では、バッテリーやタイヤなどの消耗品、オイル系、外装部品などは対象外。

 メーカー保証とは別に販売店保証もある。中古車の場合、販売する時点で部品の劣化や消耗が進んでいる。その分、故障リスクが高いため、中古車の販売店保証は、「納車から3カ月以内かつ走行3000キロ以内」などと期間や走行距離が短く設定されるのが一般的だ。

販売業者の自社工場完備には要注意

 中古車の購入には、車体料金のほか、登録手数料や車庫証明申請代行料金、納車費用、車検費用、整備費用、取得税などがかかる。中古車販売業者の中には、車体料金を下げて、整備費などを水増ししていることがあるという。

「一般の中古車販売業者で買うときは、ネットなどで相場を事前にチェックしておき、プライスボードに表示される価格が相場より安いケースは要注意。『自社工場完備』をアピールする販売業者の場合は、工場が認定業者かどうかチェックするのが無難です」

 自動車の整備は、日本自動車整備振興会連合会の認定工場で受けるのが原則。そうでないと、整備がズサンだったり、やってもいない整備の代金を請求されることもあるという。

■整備がメインの業者は盲点の可能性

 同じ工場でも、整備が主体の工場は“穴場”の可能性があるという。

「修理や整備をメインにしている自動車整備工場で、販売用の展示スペースを持たない業者です。そんな工場の常連客が手放した車が、中古車として売りに出ることは珍しくありません。本業が整備工場なので、状態はかなりよく、お買い得な車に出合える可能性が高いのです」

 記録簿には、整備や修理の履歴が記されるが、悪質な業者だと巧妙に隠すケースもある。そんな業者は淘汰されてきたとはいえ、ゼロではないという。「悪質業者によって隠された情報は、中古車初心者が見破るのはほぼ無理」というだけに、初心者は玉石混交の一般中古車販売店ではなく、正規ディーラーが無難だろう。

「中古車には、認定中古車と一般の中古車があって、認定中古車は第三者機関の厳しい検査をクリアしていて、一般の中古車より良質です。この認定中古車は、正規ディーラーでも一般の中古車販売店でも購入できますが、正規ディーラーの方が保証が充実していて、長期保証がついていることもある。ですから、正規ディーラーで認定中古車をチョイスするのが、もっとも簡単で確実な目利きといえます」

あえて“ワケあり物件”を狙う手も

 その上で、“裏技”もあるという。

「正規ディーラーで、あえて事故歴のある“ワケあり物件”を狙うのです。正規ディーラーは、中古車業者以上にリスク管理が徹底していて、事故車両は修理を徹底した上で販売します。私が先日、あるマツダのディーラーを訪れたとき、130万~140万円が相場のデミオの中古車が90万円台で売られていた。3年落ちで、走行距離は4万キロ。この安さはなぜ? と思ったら、追突歴があったのです。でも、キチンとした修理で車検も通っていて、ボディーも足回りもほぼピカピカの状態。あれは、買い。正規ディーラーが販売する“ワケあり物件”には、かなりオトクなケースがあるのです」

 ◇  ◇  ◇

 試乗できるなら試乗して、できなくても停止状態でアクセルやブレーキを踏んで異音がないかチェック。外装やエンジンルームなどのほか、エアコンやパワーウインドーなど電装も調べておく。

 中古車とはいえ、命を預ける乗り物だけに、念には念を入れて吟味しよう。

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