【狂乱物価】春の“大幅値上げラッシュ”が庶民を直撃!ロシア産禁輸でガソリン230円台へ
ついにバイデン米大統領がロシア産原油などの全面禁輸に踏み切った。ロシアへの依存度が高い欧州の全面禁輸は無理だが、輸入は縮小する方向だ。ロシア産の供給激減により、さらなる原油高騰は避けられず、月内に1バレル=200ドルを突破するとの見方も出ている。今春、経験したことがない値上げラッシュが日本人の懐を直撃することになりそうだ。
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OPEC(石油輸出国機構)のバルキンド事務局長は、ロシア産原油の禁輸措置について「(ロシア産の不足分を)埋め合わせる余剰能力は世界にはない」と懸念を示した。
「ここ数年“脱炭素”に逆行し、需要の先細りが見込まれる『原油関連の投資』は抑えられてきました。今、供給サイドにはそれほど余裕はない。しかも、米国主導の対ロ経済制裁が招いた原油不足に主要産油国が簡単には協力しないとみられています」(経済ジャーナリストの井上学氏)
米ウォールストリート・ジャーナルは9日、米政府がサウジアラビアとUAEの首脳とバイデンとの電話会談を申し込んだが、拒否されたと報じた。主要産油国で日量数百万バレルの増産余力があるのは両国だけで、協力を求めようとしたが、門前払いを食らったのだ。
イランは核問題で制裁中。協力を得るのは難しい。米国は親ロ政権のベネズエラに対し、経済制裁の緩和をチラつかせ、輸入再開の模索を始めた。それほど、原油市場からロシア産が消えることは大変な事態なのだ。
■ガソリンは230円台へ
ロシア産原油の禁輸が価格に与えるインパクトは大きい。足元のWTI原油先物価格は1バレル=110ドル台。2008年7月の過去最高147ドルも視野に入るが、この先、大幅に最高値を更新する見方がある。
エネルギー調査会社ライスタッド・エナジーは、欧米が禁輸に踏み切れば原油価格は200ドルに上昇するとしている。また、3月末までに原油の先物価格が200ドルを超えると見込み、金融商品を買う投資家も出てきた。
今月中に原油が1バレル=200ドルを突破すると、暮らしはどうなるのかーー。ガソリン価格は1リットル260円台(1ドル=115円で計算)となり、政府が補助金を最大の25円支給しても、230円を上回る。
目も当てられない夏の電気代
電気代は海外市況から3カ月遅れて反映される。4月の電気代は過去5年で最高値の見通しだが、この夏には200ドルを織り込み、目も当てられない請求書を見るハメになる。
重油などを燃料にしているクリーニング屋や銭湯の料金も大幅値上げは必至。燃料代が高すぎて船を出せない漁師も出てくるだろう。
さらに、物流費やプラスチック製品などあらゆるものが大幅にアップする。
まさに狂乱物価だ。
「このところ企業間の物価は大幅に上がっていましたが、消費者物価は抑えられていました。しかし、今回の原油高は大幅で、しかも消費者は事情をよく理解している。コストアップの大部分が末端価格に転嫁され、消費者物価も大幅に上昇するでしょう。政府はガソリンや灯油にとどまらず、物価全般に対する対策を講じる必要があります」(井上学氏)
今日から財布の紐を締めざるを得ない。
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