在留資格ポイント制度を悪用か? 都内証券会社の特背事件に入管庁が注目するワケ
ロシア軍の侵攻から逃れて来日したウクライナ避難民の扱いをめぐり、出入国在留管理庁が公表した在留資格の変更手続きが話題となる中、東京都内の証券会社を舞台にした“特背(特別背任)事件”が同庁関係者らの注目を集めている。
事件の概要は、東京・中央区の「リーディング証券」で代表取締役会長だった中国籍の男が、香港の投資コンサル会社と架空のサービス契約を結び、2020年12月に日本円で約3280万円を不正送金し、会社に損害を与えた──というものだ。
「リーディング証券」はこの会長を解任するとともに、3月31日付で特別背任罪の疑いで警視庁に告訴状を提出した。
企業経営陣をめぐる特背事件はよくあるとはいえ、なぜ、このケースが出入国在留管理庁で注目されているのか。
「この不正送金が発覚したのは、告訴状を提出された中国籍の会長に在留資格の不正取得ほう助の疑惑が浮上したためです。2021年夏の取締役会で、香港で事故死した男性社員の慶弔金に1000万円を計上する議案が示され、『社内規定では最大300万円なのになぜ、これほど多額なのか』と異論が出ました。そこで、あらためて、この事故死した社員の素性を調べると、部長級職にもかかわらず年収が破格の2500万円。さらに会長以外、その存在をほとんどの社員が知らなかったことから問題となり、大規模な社内調査が行われました」(関係者)