髙橋裕樹
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髙橋裕樹弁護士

「すべては依頼者の笑顔のために」がモットー。3000件を超す法律相談実績を持ち、相続や離婚といった身近な法律問題から刑事事件、企業法務まで何でもこなすオールマイティーな“戦う弁護士”。裁判員裁判4連続無罪の偉業を成し遂げた実績を持つ。アトム市川船橋法律事務所。

ドーベルマン盗難事件はネットの誹謗中傷と根っこは同じ 行き過ぎた正義感が招くトラブル

公開日: 更新日:

 2022年5月19日、千葉県木更津市のとある住宅からドーベルマンを盗んだとして男女3人が逮捕されました。3人はいずれも動物愛護団体のメンバーで、なんと以前同じ住宅から逃げ出したドーベルマンを保護していたとのことでした。さらに、メンバーのうちのひとりはテレビの取材やSNSで積極的に動物愛護に関する持論を展開していたこともあり、大きな話題となっています。そのメンバーは「こんな劣悪な環境で犬を飼ってはいけない」などと投稿しており、動物を愛する気持ちが暴走して今回の犯行に至ってしまったのだと推察されます。

 今回の犯行が、窃盗罪(刑法235条)にあたることはいうまでもありません。どんな理由があろうと、他人が所有する物を盗むことは許されないものです。ただ、今回の事件のように自身の信念や正義感が行き過ぎて法的トラブルを起こしてしまうケースは往々にして見受けられます。

 その最たるものが、ネット上での誹謗中傷でしょう。日々のニュース、ワイドショーやバラエティー番組での芸能人の発言、有名人のSNS上での発信などに対して気軽に反応できる昨今、自身の信念や正義感に基づいて発信したら大問題に……という事案は増えてきています。誹謗中傷を行った動機として「正当な批判・論評だと思った」という回答が一番多かったという統計もあり、自身の言動が誹謗中傷だとわからずに発信してしまっている人が少なくありません。また誹謗中傷の際、いわゆる“特定班”により特定された個人情報に絡めて発信されることも多く、秘密を暴いたという達成感や快感も少なからず発信を後押ししているのだと思われます。

 こうしたネット上での誹謗中傷に対しては、許すまじという社会のコンセンサスが広がり、処罰もどんどん厳格化されています。

 あなたの正義感は妥当なのか、行き過ぎていないのか、果たしてどっちなのか。常に自問自答する姿勢が大事だと思います。

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