安倍元首相が防衛次官の交代人事に激オコ! 岸田首相に直談判もあえなく却下される

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 霞が関は人事の季節だが、防衛省事務次官の交代劇が波紋を広げている。

 17日の閣議で防衛省の島田和久次官の退任人事が正式に決まったことは、政界で驚きをもって受け止められた。岸田首相が安倍元首相にケンカを売ったとみられているのだ。

 第2次安倍政権で首相秘書官を約6年半も務めた島田氏は、2020年8月に次官就任。自他ともに認める安倍の腹心だ。安倍が主張する「防衛費のGDP比2%」の旗振り役でもある。年末に向けて、国の外交・防衛政策の基本方針となる「国家安全保障戦略(NSS)」や「防衛計画の大綱」など戦略3文書の改定も主導してきた。

「特にNSSは9年ぶりの改定で、島田氏の年末までの続投は既定路線とみられていた。安倍元首相の実弟である岸防衛相も、3文書や重要政策の継続性を理由に島田氏の留任を5月ごろから官邸に打診していました。しかし、官邸は『次官は2年間が通例』として交代を押し切ったのです」(防衛省関係者)

 産経新聞(18日付)によれば、安倍も16日に岸田首相を議員会館の自室に呼びつけ、島田氏の退任人事を再考するよう迫ったという。それでも岸田首相の答えは「ノー」で、人事は覆らなかった。

 後任の鈴木敦夫防衛装備庁長官は、島田氏と同期で、防衛省で同期が2代続けて次官になるのは初めて。また、“上がりポスト”である装備庁長官からのスライドも初めてと異例ずくめ。何としても島田氏を交代させるという執念すら感じる。

「次官交代によって、戦略3文書の方向性が変わる可能性がある。安倍さんが党内を主導してきた防衛費増額や反撃能力保持の議論も尻すぼみになるかもしれません。面白くない人事に安倍さんは『あり得ない』と激怒していたそうで、総理との対立が先鋭化しかねません」(自民党関係者)

次は日銀の黒田総裁?

 岸田首相はかねて「参院選に勝てば人事は好きなようにやる」と周囲に話しているという。昨年の総裁選でも、首相になってやりたいことは「人事」と答えていたから、よほど人事に思い入れがあるのだろう。

 党内では、参院選後には岸田首相がいよいよ「黒田切り」に動くという見方もある。日銀の黒田総裁を交代させて、アベノミクスから明確に転換するというのだ。

 このところ安倍元首相が「次の総裁もしっかりとしたマクロ経済路線でやってほしい」などと日銀総裁人事にやたらと言及するのも、岸田人事を牽制するためだろう。安倍外交もアベノミクスも全否定されたら何も残らない。安倍元首相の怒りと焦りは相当なものがあるはずだ。 

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