刑法初の大改正 「懲役刑」がなくなる意味を知っていますか?
刑法の大改正が行われました。1907年以降、初めてのことです。
これまで刑務所に入所させる刑罰は「懲役刑」「禁錮刑」の2つでしたが、これらを廃止し「拘禁刑」という新たな刑罰へ一本化されました。
これまでの「懲役刑」は刑務作業が中心。それに対し、新設された「拘禁刑」は、刑務作業だけでなく、受刑者が刑期を終えた後、円滑に社会復帰をし、自立した生活を送っていくために必要な住居、医療、就業・修学などの指導や教育も行わせることができるものとされました。
この改正に至った経緯としては、刑期を終えた受刑者を取り巻く現実が大きく影響していると思われます。法務省が作成し公開する「犯罪白書」(令和3年版)によれば、再犯者率は年々上昇し続け、令和2年には49.1%。また、刑務所から出所した受刑者が再び入所する確率は、出所してから5年以内が36.7%、10年以内が45.3%となっています。
刑務所での生活の大半を単純な刑務作業に費やしてきた受刑者にとって、出所後、逮捕前とは様変わりした社会で復帰することは非常にハードルが高いものがあります。それゆえ、出所後の受刑者が生活の場所や、気持ちのやり場を失い、再犯に至ってしまうような事態を極力避けるため、刑務所内における準備や教育が大きな課題となっていました。