世界では推奨されていないのに…「大正製薬」の肥満治療薬の効果と副作用
11月28日、厚労省の専門家部会が、大正製薬の肥満治療薬オルリスタット(商品名アライ)を、医師の処方箋が要らない一般用医薬品として承認することを了承した。多くのメディアは好意的に報じているが、実態は違う。ご紹介しよう。
肥満治療薬は、世界のメガファーマがしのぎを削る成長領域だ。近年、肥満は高血圧や糖尿病などと同じ慢性疾患の一つと認識されるようになり、薬物療法が模索されている。一部の糖尿病治療薬に体重減少作用があることが臨床試験で証明され、新薬の開発が加速している。
最近、米イーライリリーが開発するモウンジャロが米食品医薬品局(FDA)から迅速承認指定を受けた。この薬は、今年5月に2型糖尿病治療薬として承認されたばかりの新薬で、肥満に対する治験では体重を20%以上減少させる効果が示された。現在の肥満治療薬の世界市場は24億ドルだが、2028年までに112億ドルに達すると考えられている。
では、オルリスタットはどうか。古い薬だ。2007年2月に米国で承認されて以降、世界70カ国以上で一般用医薬品として承認されており、中国などアジア諸国でも20年以上前から販売されている。