ロシアが「産めよ増やせよ」政策に号令? 若者の国外脱出と労働力減少が深刻化
ウクライナに侵攻中のロシアで少子化への懸念が噴出している。
ロシア国営メディアによると、8日までの2日間の日程で、公衆衛生に関する国際会議がモスクワ市内で開催された。参加したのは、連邦を構成する各地の保健当局トップだ。
ロシア保健省のリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の専門家は会議で、ロシアの人口減を念頭に「ロシア国内の出生率は約1.5。人口を充足させるためには少なくとも2.33であるべきだ」と指摘。一家族あたり3~4人の子どもを育てる必要性を訴えたという。
ウクライナ侵攻で若者の国外脱出や労働力の減少が深刻化する中、ロシア版「産めよ増やせよ」政策を打ち出すつもりなのか。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。
「ただでさえロシアは少子高齢化社会が進んでいるので、国外脱出などの問題に相当な危機感を抱いていると思います。ロシアの若者がビザなしでアメリカに亡命したケースが昨年に比べ47倍に上ったとの報道も出ており、ロシア国内では職場から若者が黙っていなくなるケースが相次いでいるといいます。大統領府は職員の海外渡航を禁じるなど、つなぎ留めに必死です。今後、『子ども3人以上を育てていたら給料上乗せ』もしくは『3人に満たなかったら減給』などのノルマが職場ごとに課せられていくのではないか」