庶民の食卓を“猛暑インフレ”が襲う…肉も野菜も卵も高騰で「政府による物価高対策を」と専門家が警鐘
連日うだるような暑さがつづく猛暑が、とうとう日本の食卓を直撃しはじめている。記録的な暑さによって肉も野菜も高騰しているのだ。庶民の生活防衛も限界だ。
下落がつづいていたコメ価格が上昇しはじめている。農水省によると、7月21~27日に全国の小売店で販売されたコメ5キロの平均価格は、前週より35円高い3467円だったという。10週ぶりに値上がりに転じてしまった。備蓄米放出の効果が薄れてきたことが原因の一つとみられている。
ヤバイのは、9月以降、コメ価格が再び急騰する可能性が高まっていることだ。記録的な猛暑と水不足のため、コメの生育不良が懸念され、9月から出回る「新米」の収穫量が極端に少なくなる恐れが強まっているためだ。品薄になれば、当然、コメの価格は高騰してしまう。
小泉農相も、3日、慌ててコメの産地として知られる新潟県南魚沼市の「ため池」を視察している。南魚沼市では、7月の降水量が例年の10%に満たない深刻な水不足がつづいている。この時期に十分な水がないと、穂が育たず、稲が枯れて藁のようになってしまうという。
■野菜や果物でも作柄悪化
猛暑と水不足に直撃されているのは、コメだけではない。野菜や果物でも作柄悪化が起きている。
すでに夏野菜は影響が出ている。東京市場の7月の卸値は、キュウリは平年の1.4倍、トマトとピーマンは1.3倍だ。暑さと水不足で生育が進まず、8月以降も高値がつづきそうだという。
果物も軒並み、やられている。福島県のモモや、山形県のリンゴやブドウは、果実が大きくならなかったり、日焼けしてしまい、収穫量の減少が心配されている。
影響は畜産にも及んでいる。東京市場の国産豚肉の7月の平均卸値は、前年より4%高い、25年ぶりの高値を記録。猛暑で豚の食欲が落ち、肉付きが悪くなっているという。鶏卵も、卵が小さくなったり殻が割れやすくなって出荷量が減り、卵価格が高騰している。