ヨウ素剤は「必要なときに正しく飲めるように備えておく」ことが重要
8月6日は、80回目の「原爆の日」です。広島に在住する私にとっても特別な1日となります。また、私事ですが父の80回目の誕生日でもあります。
さて、放射能や放射線のニュースでは必ずといっていいほど「被曝」という言葉が登場します。今回は被曝予防として用いられる「安定ヨウ素剤」(ヨウ化カリウム)についてお話しします。
原発事故では、放射性ヨウ素が大量に環境中に放出されることがあります。体に入ると甲状腺に集まり、がんなどの原因になります。それを防ぐのがこのヨウ素剤の役割です。仕組みはシンプルで、あらかじめ体内に安定したヨウ素を満たしておくことで、放射性のヨウ素を取り込みにくくするというものです。いわば「先に甲状腺を満タンにして、悪いヨウ素が入らないようにする」わけです。
この効果は服用後24時間は持続するとされており、放射性ヨウ素に暴露される24時間前から、暴露後2時間までの間に安定ヨウ素剤を服用することで、放射性ヨウ素の甲状腺への集積の90%以上を抑制することができるとされています。また、暴露後8時間であっても約40%の抑制効果が期待できます。