菅前首相らしからぬメディア行脚で政権批判 維新と連携し「岸田降ろし」を周到に準備か
周到に準備された「岸田降ろし」なのか。23日に召集される通常国会を前に、菅前首相がやたらとメディアに出演して岸田批判を繰り広げている。菅氏と気脈を通じる日本維新の会も連動するように策動し、政局の行方は混沌としてきた。
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菅氏は18日も、ラジオ日本の番組に出演して政府の方針に苦言を呈した。岸田首相が防衛費増額のための増税方針を表明したことは「突然だったんじゃないか」と言い、「たとえば行政改革とかいろんなことを示した上で、できない部分は増税させてほしいとか、そういう議論がなさすぎだ」と批判。岸田首相が打ち出した「異次元の少子化対策」についても、「これだけ物価が高騰している時に、何をやるかのメニューが出ていない中で消費税の議論はあり得ない」とクギを刺した。
■強める岸田批判
菅氏の主張はもっともではあるが、前首相がメディアで政権批判を繰り返すのは異例だ。菅氏は昨年末以来、精力的にメディアに出演。昨年末の通信社や地方紙などのインタビューでは主に安倍元首相の思い出を語っていたが、今月10日発売の「文芸春秋」2月号で派閥会長を続ける岸田首相に矛先を向け、「国民にどう見えるか」と問題提起してからは、防衛増税や少子化対策にも対象を広げて岸田批判を強めている。
「菅さんは、気に入らない相手を公然と批判するのではなく、裏で謀略をめぐらすタイプ。このところ表立って岸田首相批判を展開しているのは、何らかの意図があってのことでしょう。年明けの発信は昨年中に仕込んでいたはずですし、通常国会で岸田政権が退陣に追い込まれるタイミングがあると見て、逆算して動いているのかもしれません」(自民党関係者)
菅氏との関係が深い維新も不可解な動きをしている。18日、立憲民主党と維新は党首会談を行い、「安易な増税に反対」などのテーマで通常国会でも連携することを確認した。昨秋の臨時国会に続き、共闘して政権に対峙するわけだ。