「マイナ保険証」利用促進へ“暗証番号なし”マイナカード導入の悪あがき…カード・紙が4枚並存

公開日: 更新日:

待ち受けるのはアナログな未来

 保団連の竹田智雄副会長(竹田クリニック院長)がこう言う。

「マイナ保険証は、本当に使い勝手が悪い。顔認証で本人確認できるとはいえ、他人の顔でも認証できてしまうトラブルが発生しています。完璧な『なりすまし防止』にはなりません。顔認証できなかった場合はスタッフが目視で顔を確認する必要があり、逆に医療事務の手間が増えます。医療DX(デジタルフォーメーション)を進めるにあたって患者の不安に寄り添うことは当然ですが、暗証番号をなくした結果、マイナ保険証としてしかほぼ使い道がないのなら、わざわざ現行の保険証を廃止する意味とは何なのか。理解できません」

 政府はデジタル化の名の下にマイナカードの普及を進めてきたが、待ち受けるのはアナログな未来だ。

 将来的に健康保険証は、「暗証番号あり」のマイナカード、「暗証番号なし」のマイナカード、マイナ保険証を持たない人向けの「資格確認書」、マイナ保険証が使えない医療機関で診療を受ける際に必要な「資格情報のお知らせ」──の計4枚のカードもしくは紙が世の中に並存することになる。

「患者にとっても医療機関側にとっても、複雑怪奇です。シンプルで分かりやすく、安心・安全な現行の保険証を残せば、こんなことにはなりません。希望する人だけがマイナ保険証を選択できる仕組みにすればいいだけです」(竹田智雄氏)

 政府の弥縫策で、マイナ保険証の利用率が上がるはずない。いい加減、諦めるべきだ。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

  3. 3
    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

  4. 4
    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

  5. 5
    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

  1. 6
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 7
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  3. 8
    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  4. 9
    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

  5. 10
    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今

    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今