「稼げる研究」優先の壁に阻まれ研究休止に…マンパワーの問題解消が再開の条件

公開日: 更新日:

「経済的波及効果。その点を疑問視されました」

 近畿大学原子力研究所の一室で、所長の山西弘城氏は肩を落とした。

 超微細な穴がたくさん開いた「多孔質体」の顆粒にトリチウム水を吸着させる──。新たなアイデアに取りかかった頃、山西氏が参加した近大と民間企業の研究チームは資金獲得のため、政府系の補助金を申請した。

 文科省所管の国立研究開発法人「科学技術振興機構」の「A-STEP」という産学共同研究の支援プログラムを探し出し、応募した。しかし、審査の結果は不採択。補助金は拒まれてしまった。

「2020年8月に届いた通知には技術について『十分興味深い』と書かれてありましたけど、制度の趣旨からも致し方ない判断でしょう」

 A-STEPは募集要項に〈研究成果の社会還元を目指す〉とうたうが、〈国民経済上重要な技術として実用化すること〉が大前提。要は「稼げる研究」以外は支援の対象にならないということ。国立大学法人法の「改悪」にも通じる「カネにならない研究はいらない」という政府の傲慢さの表れだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩本欽一〈34〉私の“運”論 大谷翔平のカネを使い込んだ通訳に「小さな声で『ありがとう』」

  2. 2

    高橋成美「渋幕→慶応」だけでは読み解けないズバ抜けた回転の速さ 世界選手権ペアで日本人初の銅メダル

  3. 3

    中居正広氏が熊本地震被災地を支援と報道 引退後も変わらないチャリティー精神と芸能界復帰の可能性

  4. 4

    松本若菜「ジュラシック・ワールド」吹き替え《棒読み》論争再燃…暗雲漂う主演ドラマに新たな逆風

  5. 5

    神戸への“聖地帰還”めぐり騒然…山口組・司組長「7年ぶりの里帰り」は実現するか

  1. 6

    高市官邸「被災地利用PV」が首相の命取りに? 安倍元首相“コロナおこもり動画”の二の舞を自民党が危惧

  2. 7

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 8

    熊本地震の被災地利用に続き…首相官邸が今度は国民栄誉賞で「高市PR動画」作成し大炎上

  4. 9

    年金生活者を悩ませる墓問題 維持費も「墓じまい」の費用も払えない人はどうすればいいのか?

  5. 10

    中村倫也が「風、薫る」に大貢献…妻・水卜麻美アナとの「ずっと仲良く」「にこやかな」近況