「稼げる研究」優先の壁に阻まれ研究休止に…マンパワーの問題解消が再開の条件

公開日: 更新日:

「経済的波及効果。その点を疑問視されました」

 近畿大学原子力研究所の一室で、所長の山西弘城氏は肩を落とした。

 超微細な穴がたくさん開いた「多孔質体」の顆粒にトリチウム水を吸着させる──。新たなアイデアに取りかかった頃、山西氏が参加した近大と民間企業の研究チームは資金獲得のため、政府系の補助金を申請した。

 文科省所管の国立研究開発法人「科学技術振興機構」の「A-STEP」という産学共同研究の支援プログラムを探し出し、応募した。しかし、審査の結果は不採択。補助金は拒まれてしまった。

「2020年8月に届いた通知には技術について『十分興味深い』と書かれてありましたけど、制度の趣旨からも致し方ない判断でしょう」

 A-STEPは募集要項に〈研究成果の社会還元を目指す〉とうたうが、〈国民経済上重要な技術として実用化すること〉が大前提。要は「稼げる研究」以外は支援の対象にならないということ。国立大学法人法の「改悪」にも通じる「カネにならない研究はいらない」という政府の傲慢さの表れだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    結核とは違う感染症「非結核性抗酸菌症」患者が増加…人からうつらないのに感染するのはなぜ?

  2. 2

    インナーパンツは「下着」ではない? その盗撮行為を裁判所はどう罰したか

  3. 3

    「カプセルランド湯島」湯島・上野エリアで3時間1000円の高コスパ

  4. 4

    相次ぐトクリュウ被害対策で絶対必要な「裕福な地方家庭を質素に見せる」工夫…佐賀・唐津の金持ちに聞いた車選びと金の使い方

  5. 5

    「あの人、もったいなかった…」ではもう遅い! 婚活男性を次々断る“ポイポイ婚活”女性の落とし穴

  1. 6

    (1)東京・杉並区を流れる善福寺川周辺にも、「アサ」「ツル」「カマ」は湿地、「エコ」は川の入江を示す水害地名

  2. 7

    男女平等「世界117位」の日本、古代は先進国だった? 16代の天皇のうち8代が女性だった「女帝の時代」

  3. 8

    (2)「丸子「野毛」「等々力」など東京と神奈川で同じ地名 多摩川の氾濫で分断された水害の痕跡

  4. 9

    旧宮家の養子に新たな「儀式」検討…その裏に「予算獲得」の思惑?

  5. 10

    台風25号直撃の千葉・印旛沼は堤防決壊で浸水被害…10月も大雨襲来&首都圏直撃の懸念

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    伊原陵人の女性トラブル報道と関係が? 阪神の若手有望株を巡る“不可解な塩漬け”

  2. 2

    NHK「のど自慢」見ていて、あの政党の党勢縮小の理由がわかった

  3. 3

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  4. 4

    維新から入閣の中司宏新大臣に案の定「裏金疑惑」…高市内閣は支持率20ポイント暴落もある

  5. 5

    DeNA構想外の藤浪晋太郎を拾いそうな「意外な2球団」 “瀕死の剛腕”にはこれだけの魅力

  1. 6

    藤島ジュリー景子もう復活 懲りない真っ暗闇集団「旧ジャニーズ」と、それを許すテレビ局

  2. 7

    『ペイパーバック・ライター』60年前の日本との実力差を感じる凝った機材セッティング

  3. 8

    藤島ジュリー景子氏「復権の宴」と、「死ぬほど悔しい」と今もむせび泣くジャニー喜多川氏性加害被害者の肉声

  4. 9

    水前寺清子(4)気をつけていることといったら、「自分の心と違うことは言わない」ぐらいかな

  5. 10

    結核とは違う感染症「非結核性抗酸菌症」患者が増加…人からうつらないのに感染するのはなぜ?