パリ五輪「馬術団体」銅メダルは競馬ファンのおかげ? 92年ぶり快挙の陰にJRAの強力後押し

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五輪出場クラスの愛馬は5000万円~3億円が相場

 競馬ファンからも「歴史的快挙」といった称賛の声が上がっている。パリ五輪総合馬術団体で大岩義明(48)、戸本一真(41)、北島隆三(38)、田中利幸(39)の“初老ジャパン”が銅メダル。日本勢としては1932年ロサンゼルス五輪金メダルのバロン西こと西竹一(硫黄島で戦死)以来、92年ぶりのメダル獲得だ。ではなぜ今回の快挙につながったのか?

  ◇  ◇  ◇

 今回の快挙はJRA(日本中央競馬会)からの助成金が大いに貢献している。巡り巡って、競馬ファンがメダルを後押ししたと言っても過言ではないのだ。

 その馬術競技には「馬場馬術」(優雅さを競う)と「障害馬術」(ミスなく障害を飛越しタイムを競う)、そして馬場馬術・障害馬術にクロスカントリー(池や丸太を越えて走る)を組み合わせた「総合馬術」がある。今回はその団体戦だ。

 そもそも、この4人にはパリ五輪への出場権がなかった。日本は出場権のかかった2022年の世界選手権で11位に敗れ、昨年6月の地域予選も出場枠が与えられる2位以内を逃してしまった。ところが、2位の中国の馬が薬物違反で失格。運も味方して繰り上がり出場を果たしたのだ。

 そんなラッキーも重なったが、こと馬術に関する限りお金も重要になってくる。まずは、相棒となる馬のお値段だ。

 1964年東京を最初に北京、ロンドン五輪に出場した乗馬界のレジェンド・法華津寛氏(83)が「乗馬は馬六分、人四分で勝敗が決まる」と語ったように、馬の優劣(価格)は重要なのだ。

「乗馬クラブの馬で1頭30万~70万円ほど。国体クラスで700万~1000万円、五輪クラスだと最低でも5000万円が相場です。メダルを狙うような選手の愛馬なら1億~3億円です」(大学馬術部関係者)

 以前なら選手個人に重い負担がのしかかっていたものだが、戸本選手の愛馬「ヴィンシーJRA号」はJRAが海外から購入した馬。田中選手、北島選手の愛馬もJRAからの資金提供を受けている。戸本選手はJRA職員でもあり、JRAが全面的に後ろ盾になってくれているのだ。

■パリまで運ぶ馬の輸送費用はいくら?

 当然ながら、馬の輸送代もかかる。ワンちゃんなどのペットならJALは東京から那覇まで7700円。ただ、クレート(檻)に入れて32キロまでという制限があるため、400キロ以上の馬は当然ペケ。ましてや海外までの輸送となると途方もない金額になる。

 法華津選手が北京五輪に出場した際は、欧州から香港(五輪会場)まで愛馬ウィスパー号を空路で運ぶだけで往復約700万円。仮に日本からなら片道12時間のパリまでの輸送費は1000万円を軽く超えてくる。

 さらに馬の飼料代は月約5万円ほど。

「体重500キロの馬で、1日10~12.5キロのエサを食べます。以前は月2.5万円くらいで済んだが、これも高くなっている。その他にも馬の病気の治療、予防代や保険、装蹄などの維持費がかかります」(前出の関係者)

 また、馬術で実力をつけるにはドイツを中心としたレベルの高い欧州の大会で、愛馬と共に揉まれなくてはいけない。この遠征費用は家1軒分の費用に匹敵する。

「私が馬術修業のため海外の大会を転戦した際は必要経費だけで年3000万円かかりました。円安の今ならなおさらです。専属コーチを雇うと、さらに費用はかかる。スポンサーや強化費がなければ選手生活を継続できません」(五輪出場経験のある選手)

 本気で競技に打ち込むために欧州移住を考える選手も多い。実際、4人は全員拠点をドイツなどに移し、ヨーロッパを中心に活動して世界の強豪選手と戦いを重ねて実力をつけてきた。

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