合同採用説明会で見た「保育士不足」のリアル…東京都も神奈川に“遠征”して人材確保に必死

公開日: 更新日:

 どこもかしこも人手が足りない……。そんなご時世で、保育業界もまた、人手不足が深刻化している。今年1月の保育士の有効求人倍率は3.54倍で、全職種平均の1.35倍と比較してもかなり高い水準で推移している。その窮状は、保育士の合同採用説明会が毎週、さまざまな地域で開かれている様子からもうかがえる。業界の実態を探るため、8月中旬に神奈川県某所で開催された合同採用説明会に、20代後半の日刊ゲンダイ男性記者が潜入した。

  ◇  ◇  ◇

「あー、ごめんなさい……。ウチは男性社員を採用してなくて。トイレとか更衣室とか、受け入れる環境が整ってないんですよ。本当は人手不足なので、男手も欲しいところなんですけどね……」

 勇気を出して会場の一番手前にある保育事業者ブースの女性に声をかけたところ、こんな反応が返ってきた。150坪ほどに20の事業者が出展していた会場には、求職者が70人ほど。その中に男性はほぼ見当たらず、女性ばかりでただでさえアウェー状態。取材を始めようとしたところにいきなりジェンダーの壁が立ちはだかり、心が折れそうになった。

 見るからにしょんぼりしていたのか、説明会の男性スタッフに話しかけられ、案内をしてくれた。いろいろと質問を投げかけているうちに、男性スタッフは業界の実情についてこう打ち明けた。

「人手不足は実際厳しいです。だから、今日もこういったイベントが開かれているわけです。保育士は離職率が高いので、少しでも対面の機会を増やし、職場のミスマッチを防ぐ狙いもあります。男性? もちろん歓迎ですよ!」

 イベントでは、高級住宅街などで知られる東京23区のとある自治体も、ブースを構えていた。予算が潤沢な東京都の保育は、人手不足とは無縁に思える。

 一体なぜ、神奈川県にまで“遠征”しているのか。担当者はそのワケをこう話す。

「東京都は子供の数が多く、保育士を採用しても全然追いつかないんです。だから、上限8万円の家賃補助や、独自の処遇改善手当を設けることで待遇を良くし、他の自治体から保育士を呼び込もうとしています。ハッキリ言って、人の奪い合いですので(苦笑)」

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも