鶯谷「ささのや」1本90円の焼き鳥を焼きも焼いたり1日2000本

公開日: 更新日:

 JR鴬谷駅南口を出て坂を右に上がっていくと、右奥に東京国立博物館の鬱蒼とした森が見えてくる。左側にはいくつもの寺が立ち並び、まさに森閑とした雰囲気に包まれる。

 逆方向、すなわち左側の線路にかかる大きな橋を渡ると雰囲気は一変する。そこはラブホテルが立ち並び、その一角に小さな酒場が密集しているエリアがある。橋を渡り切って言問通りに向かう階段を下ると、モクモクと立ち上る煙に包まれる。それはアタシの大好きな獣の脂が焼けるときに出る香ばしい匂い。その煙を上げている店が今回お目当ての「ささのや」だ。

 昭和25年創業。この地で70年以上、煙を上げ続けている。開店の3時半前に階段を下りると、店頭では開店時間に向けて何種類もの焼き鳥(焼きトン)を焼いて客の来店に備えている。

 焼き場のまわりには5、6人が飲める立ち飲みスペース、壁に沿って1人用カウンターがある。奥は複数客用のテーブル席だ。

 アタシは3時半きっかりに焼き場横の立ち飲み席に陣取る。初めてだったが、焼き場のお姉さんが親切に流儀を教えてくれた。

 タレで焼かれたネタは、アルミケースに仕分けされて放り込まれる。客は自分の皿を持って好きなネタをピックアップしていく。

 なんと1本90円! まず、レバ、ハツ、シロ、ネギマをチョイス。塩焼きは新たに焼くので3本から。アタシは塩で軟骨とカシラ2本を注文。そして生中(500円)。

 開店後5分もしないうちに続々と勝手知ったる先輩たちが、次々と皿にネタをのせていく。開放的な店頭の前は買い物の奥さんたちが横目で通り過ぎたり、立ち止まって思案しながら20本ほど持ち帰ったり。キャリーバッグを引いた外国人が興味深そうにのぞいていくものの、さすがに入るのは厳しそうだ。

 素性のわからなそうな女性が狭い路地に入っていくかと思えば、専門学校生っぽい女子が数人で1本ずつ買い食いしていく。その間、電話で注文が入り、「いろいろ交ぜて100本。1時間後ね!」。アタシは度肝を抜かれたが、この店では普通のことらしい。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋