町には更地が広がり…「復興には時間がかかる。若者はどんどん珠洲から出ていくでしょう」

公開日: 更新日:

 将来への不安が、住民を襲う。

 石川県珠洲市の中心地から5キロほど東に行った蛸島町は、正月の地震で8割の家が全半壊し、被害を免れた家はほとんどなかった。

 本紙記者が震災直後の1月9日に訪れると、液状化でところどころ道路が盛り上がり、何軒もの家が倒壊。行く先々でがれきが道をふさぎ、場所によっては歩くことさえ難しかった。

 あの町はどうなったのか──。先月下旬に再訪すると、正月とは全く違った光景が広がっていた。というのも、被害の大きかった家は、ほぼ全て解体されていた。

 趣のあったかつての古い町並みも、虫食い状の更地が目立つためどこか殺風景に。地元住民でさえも「時々、どこを歩いているのか分からなくなる」と漏らすほどだ。

 出歩く住民もあまりおらず、道端で出くわすのは解体業者の方が多いくらいだった。

 町の東端にある一軒家で暮らす80代の男性は、地域の変化をこう嘆く。

「被災してからこの町の人口は、体感で半分くらいになったと思います。前からここは高齢者ばかりだったから、今さら新しく家を建ててもしょうがないし、そのお金もない。復興には時間がかかるはずだから、その間にも若者はどんどん珠洲から出ていくでしょう。この地域の未来が思いやられます」

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」