埼玉・八潮市の道路陥没事故で3カ月以上も安否不明…被害男性はなぜ「実名報道」されなかった?
一般的に被害者の情報など事件の詳細を社会に共有することで、二度と同じようなことが起こらないよう対策を論じることに意義があるとされている。だが、凶悪犯罪などの際、被害者の氏名、年齢、卒業アルバムなどの写真が公開されることへの批判も少なくない。
鎮目氏によると、個人情報非公表の要望には必ずしも強制力はないという。
安否不明状態が続く中、トラック運転手への関心が高まったためか、男性の名前や職場を特定するような情報も一部で流れた。
「警察が記者クラブに非公開を要望するケースは誘拐事件で多く見られます。捜査状況や詳細な情報を出すことが犯人逮捕の妨げになる場合、記者クラブ各社で協議し、報道しないことを決めるケースもあります。今回、事故発生から3カ月以上もの間、運転手の方が乗られたトラックは引き揚げられず、とても気の毒な状況でしたから。この場合、メディア側にとって名前を出すことに報道としての大義はありません」(鎮目博道氏)
今回、個人情報を出さない代わりに、遺族や勤務先が亡くなった男性の人柄が偲ばれるような談話を発表したのではないかと鎮目氏は話す。