「懲役刑」と「禁固刑」が廃止され「拘禁刑」に一本化されるのはなぜ?
すでにニュースなどでご存じかどうか。今年の6月1日から、「懲役刑」と「禁錮刑」が廃止され、「拘禁刑」に一本化されます。実に115年ぶりに刑罰の仕組みが変わるわけです。
日本の刑法において、受刑者の身体の自由を奪う刑罰である「自由刑」には、主に「懲役刑」と「禁錮刑」の2種類が存在します。「懲役刑」という言葉は多くの方が耳にしたことがあるかもしれません。それに対して「禁錮刑」という言葉は初めて聞くという方もいるかもしれません。
「懲役刑」は、刑務所での作業が義務付けられる刑罰で、窃盗や詐欺、暴行、殺人などの犯罪に科される刑罰です。これに対して「禁錮刑」は、刑務作業の義務がなく、刑務所で拘束される刑罰です。主に業務上過失致死傷罪などの過失犯や、一部の政治犯、公務執行妨害罪、選挙犯罪などに適用されています。
ではなぜ、一本化されるのかというと、「禁錮刑」の受刑者の多くが実際には自主的に刑務作業に取り組んでおり、「懲役刑」の受刑者と実質的に違わないという面があります。
もうひとつは、懲役受刑者の更生や社会復帰支援のための職業訓練や教育プログラムが施設で実施されていますが、刑務作業の比重が重すぎ、教育が十分になされていない現状があります。