118年ぶりの新たな刑罰 「拘禁刑」は「懲役」や「禁固」とどこが違うのか
もっとも、処遇の個別化が進むことになれば、刑事施設の職員には以前よりも高度な判断と対応が求められることになります。しかし、現場では人手や予算の不足が指摘されており、制度の理念が実現できるかには疑問が残ります。また刑務作業の義務性が曖昧になったことで、犯罪者が何の罰も受けないのではないかといった国民の処罰感情からの反感も想定されるところです。被害者や被害者家族の心情、国民の処罰感情とのバランスをどう取るのかという課題があるといえます。
拘禁刑は、名称こそ新しいものの、従来の制度の延長線上にある刑罰です。制度の理念が現場でどこまで実現されるのか、そして国民がそれをどう受け止めるのかが、問われていくことになるでしょう。