立石「倉井ストアー」売る総菜を店内で安く食べるスタイルに世界中から若者がやってくる
アタシが今歩いているこの界隈について書かれたある作家のエッセーに、地元の人の言葉が載っていた。
それは「ここは下町じゃなくて場末だよ」。場末とは、中心から少し離れた裏通りとでもいうべき場所。決して悪い意味ではない。今回、京成立石駅に降り立ったとき、そんな一節を思い出した。が、ここはれっきとした下町。その証拠に昭和38年公開の映画「下町の太陽」の舞台はこの辺りである。
そんなわけで今回は駅前の繁華街から少し離れた下町の場末、「倉井ストアー」に突入した。飲み屋横丁があった北口を西の方に10分ほど行くとハッピー商店会がある。パン屋、八百屋などの個人商店がポツポツ目に入るが、失礼だが繁盛しているようには見えない。倉井ストアーはそのほぼドンツキにある。
外観は昭和40年代の小さなスーパー。郊外の街に一軒だけある何でも屋さんといったたたずまい。入り口は2つ。左側は小売りコーナー。右側は食堂、今どきの言葉ならイートインコーナー。この2つは中でつながっている。初めてのアタシは店主の倉井さんご夫婦にルールを聞いた。
「こっちから飲み物を持っていって、ここで食べ物を注文してくれればいいだけ」
なるほど。ご主人の倉井隆司さんが親切に説明してくれた。早速サッポロ黒生大瓶(500円)とグラスを抱え厨房前でチャーシュー(390円=写真)とオムレツ(290円)を注文して食堂コーナーのテーブルに陣取る。テーブルわきに栓抜きがかけてあり、自分でシュポ!ほどなくご主人がチャーシューとオムレツを手にやって来た。さすが精肉店だけあってチャーシューは抜群にうまい。
オムレツも玉ねぎとひき肉を炒めた具が入っていて、昭和メニューらしくて実にいい。空腹のアタシは餓鬼のごとくまとめて頬張り、キンキンの黒生をグビ~。サイコ~。あいにくの土砂降りで店内に客は2人だけ。それぞれ缶チューハイや瓶ビールで定食をやっている。夜は午後5時の開店と同時に大賑わいだそうだ。