過去最悪の死者数…クマ被害が日常生活や地域経済に与えるこれだけの影響
「生息数が多くなっているのが、主な原因ですが、山の実りが悪くなった時にエサを求めて人里近くに行けば、何かおいしいものがあるかもしれないというのを繰り返し学習した。捕獲されたり、危害を加えられた経験のあるクマが少なくなり、人に対する恐怖心を感じなくなった。人間に慣れてしまったのです」(環境省鳥獣保護管理室担当者)
クマの人身被害は地域経済にも影響を及ぼしている。
今年8月、死亡事故があった北海道羅臼岳や目撃情報が多発した富山県立山室堂では登山道が閉鎖され、各地のキャンプ場の使用が禁止になっている。7月に新聞配達員がクマに襲撃されて死亡した北海道福島町では、祭りと花火大会が中止になった。1カ月にわたってヒグマ警報が出され、町民は外出を控え、営業を自粛する店舗もあった。町は経済支援のため、町民に1万円分の商品券を配布した。北海道七飯町でも100年以上続く「大沼湖水まつり」がクマ出没により、中止に追い込まれた。
今月5日には岐阜県白川村の世界遺産「白川郷合掌造り集落」で40歳のスペイン人観光客が展望台行きシャトルバスの乗り場付近で子グマに襲われ軽傷を負った。村内では今年度、クマの目撃情報が90件以上寄せられ、同村は村道や展望台遊歩道を全面通行止めにして注意を呼びかけている。