大井町の高架下「北一倶楽部」で蝦夷鹿鍋の至福 残りの汁もパスタで堪能

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野生で育った獣の肉には高級和牛にはない野趣とパワーがある

 まずは芋焼酎三岳で乾杯(ボトル4620円)。アタシはジビエには目がない。といってもイノシシ鍋や鹿ステーキ、ウサギや野バトのローストくらいしか食ったことはないのだが、なんといっても肉好きをとりこにするのは赤身肉の濃い味に加え、あの真っ白い脂身のうまさに他ならない。

 野生で育った獣の肉には、過保護の乳くさい高級和牛にはない野趣とパワーがある。三岳の味も上の空、ソワソワしながら待つこと15分。やって来たのは羊蹄山のごとく盛り上がった赤と白の山、蝦夷鹿鍋だ!(1人前2970円)。白い脂身が付いた赤身肉が縦長にスライスされ、ニンニクのきいたダシの上にキャベツ、モヤシ、ニラを土台にして山のように盛られている。それはさながら噴火して流れ出した真っ赤な溶岩によって積もった雪が溶け出しているかのよう。

 火をつけ10分ほどグツグツ。肉と野菜に火が通り、シナッと山が崩れたら食べ頃。まずは蝦夷鹿ちゃんから。弾力のある赤身の歯応えが素晴らしい。とろけるなどという軟弱な肉とは違う、雪の山野で鍛え抜かれ自然の草で育まれた野生の味だ。そこにかぶさるように脂の甘みが追いかける。

 ジビエの命は脂身だ。赤身に比べこっちはとろける甘み。両者が合わさりうまさの相乗効果。脂が溶けた汁が染み込んだ野菜が半端なくうまい。あっという間にお汁だけになった。

 そのタイミングで白鳥さんが鍋にトマトをぶち込み、火を通してから茹でたてパスタを放り込みチーズをまぶす。仕上げは上からバーナーで焦げ目をつける。うまいうまいとむさぼり食う我々を優しい笑顔で見る白鳥さん。店主の人柄と料理。それが掛け合うとうまさは倍増する。スタミナ満点の我々はさらに深い昭和街を目指すのであった。(藤井優)

○北一倶楽部 品川区大井1-1-10

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