気鋭の哲学者に聞く グローバリズムと国家の相克<上>
立命館大学大学院 千葉雅也准教授 インタビュー
1強政治、少子高齢化進行のひずみが顕在化する中で迎えた参院選。ネオリベラリズムの競争社会の中で、既得権益に守られた層と取り残された層の格差は拡大するばかり。日本はどうなってしまうのか。気鋭の哲学者・千葉雅也立命館大学大学院准教授を直撃した。
■ワンチャンにかける若者たちと国家の矛盾
――年金をはじめとする政治や社会システムへの不安、不満、世代間のあつれきが高まっています。既成政党へのあきらめや不信感も強い。そうした中、れいわ新選組のような新たな政党の動きが注目されています。
千葉 れいわ新選組は(前回の米大統領選民主党候補者選挙に挑戦した)米国のサンダース上院議員や英国のコービン労働党党首らの登場と連動した動きです。政治や社会が左右(イデオロギー)ではなく、上下(既得権益VS被搾取側)で分かれる構図になっている。日本もそうした状況に置かれているということです。
――ネオリベラリズムがもたらした状況ですね。そうした時代状況の中でどんな考え方が主流になっているのでしょうか。