日本製鉄「呉製鉄所」高炉休止で囁かれる次の閉鎖候補
源流は呉海軍工廠の製鋼部とされている。国内鉄鋼最大手、日本製鉄が傘下の呉製鉄所(広島)の全2高炉を休止する方針を固めた。将来は鋼板製造ラインなども含めた製鉄所自体の全面閉鎖も検討するという。
呉製鉄所は日鉄が4月に吸収合併する予定の全額出資子会社、日鉄日新製鋼(旧日新製鋼)が運営する。2019年3月期の粗鋼生産量は273万トン。自動車向けの高機能鋼板などが主力製品だ。
日鉄が製鉄所の閉鎖も視野に全高炉の休止に踏み切るのは内需が縮小しているうえ、安価な中国鋼材に押され、アジア向けなどの輸出も振るわないためだ。19年の国内粗鋼生産量は前年比4・8%減の9928万トンと5年連続減少し、リーマン・ショック直後の09年以来10年ぶりの1億トン割れ。鋼材輸出も同7・5%減の3379万トンと6年連続のマイナスで、設備の過剰感は「日増しに高まっている」(業界筋)とされている。
■整備過剰感は否めず…
これに対応して日鉄ではすでに旧住友金属工業の小倉製鉄所(福岡)の高炉1基(粗鋼年産能力118万トン)を21年3月末で閉鎖することを決定。4月には今の国内16製鉄所・製造所体制を「九州」「瀬戸内」など6製鉄所体制に組織再編する方針も打ち出しているが、こうした施策だけでは設備過剰の解消には不十分と判断したもようだ。