【特別寄稿 山崎元氏】お金との付き合いも「3密」回避を

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 私たちの暮らしに未曽有の衝撃を与えたコロナ禍。ワクチンもなく緊急事態宣言によって数カ月の自粛生活を強いられたものの、いまだに終息していない。この間に世界の人々はさまざまなことに気づき、ニューノーマルの時代に入ったといわれている。これから経済や社会、暮らしはどうなるのか。そしてどう生き延びたらいいのか。

 ◇  ◇  ◇

 新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため“3密(3つの密)”がキーワードになりました。密閉・密集・密接の3つを避け、人との距離を確保する。ソーシャルディスタンスも浸透しています。

 コロナ後のお金との付き合い方で大切なことは何か。それを考えたときに「投資も3密」の回避が有効なアドバイスになると気づきました。これからの時代は“3密”を徹底した投資にする――。とても重要な投資スタンスです。

 投資における密閉とは銀行の応接室のような空間です。支店の応接室などに通されると、そこには担当者の上司や支店長が同席する場合が結構あります。支店長らは次から次へと金融商品の説明を始めますが、ドアの閉まった応接室では区切りがつくまで部屋を出られません。何らかの契約を結ばないと密閉空間からは脱出できないのです。書類にサインをしたり、ハンコを押したり……という状況に陥らないためにも密閉は避けましょう。自宅にセールスマンを上げるのも密閉の形になるのでやめたほうがいいですね。

 2つ目は密集です。人が集まるセミナーなどが該当します。こうした場所では他人の行動に影響を受けやすくなります。マルチ商法の勉強会なども密集です。説得されやすい環境なので、密集は避けるべきです。

 最後の密接は、セールスマンとの距離。近づき過ぎると、相手の喜怒哀楽が伝わりやすくなります。こんなに一生懸命に説明してくれているのに断ったらガッカリするだろうなあ、という感情が生まれてしまいます。

■2日間は「自主隔離」してじっくり考える

 実はもう1つ、避けたい密があります。“秘密”の密です。セールスマンは「ここだけの話」とか「知り合いの社長に耳打ちされたのだけど」と秘密の話を聞かせてくれることがあります。「他の人には絶対に話さないんだけど、いつも良くしてくれるので、あなただけ特別に……」「これは海外案件で普通はご紹介していないのですが」というケースもあるでしょう。

 よく考えれば分かることですが、秘密は教えてくれた段階で価値がないはずです。それと、家族に秘密のお金で稼ごうとか、穴を埋めようというのも危険。4つ目の密も避けた方がいいですね。

 お金に関する“避けたい4密”を集約すると、ファイナンシャルディスタンスになります。意味するところは、「お金の意思決定をするときに他人の影響を受けない」です。セールスマンと話しているときに、決めてはいけないということ。

 話を聞いてから、2日間ぐらいは「自己隔離」してじっくり考える。2日間あれば冷静になれるし、本当に必要な金融商品か、本当に必要な生命保険なのか、判断がつきます。

 新しい生活様式を始めるにあたって、これまでのお金に関する考え方を改める。人に相談して決める時代は終わりです。プロの話を聞いて決める価値観は捨てたほうがいい。

 覚えておきたい言い回しがあります。

「よく考えて、必要があれば、私から連絡します」

 この一言が大切です。セールスマンから「いかがですか」と問われたら、最後にそう言って終わりにしましょう。

 そして「自己隔離」してよく考えれば、90%は不必要だと分かります。わざわざセールスするような商品は、売る側にとってのメリットが大きいはずだからです。

コロナ後の適切な資産運用方法とは

 コロナ後の運用方法はどう変えるべきか。答えは「変えなくても大丈夫」。コロナ禍が為替レートや株式市場に与える影響は複雑ですが、投資に限れば、コロナ前に適切な運用をしていた人は、コロナ後も変える必要はないという結論です。

 適切な運用は、たとえば1000万円の資金があった場合、600万円は「外国株・国内株のインデックス型投資信託」(外国60%、国内40%)とし、300万円は個人向け国債の「変動金利型10年満期国債」、残る100万円を「普通預金」にします。この割合は資金量が違っても変わりません。

 これで十分です。外国株のインデックスファンドは、全世界や先進国に投資している商品、国内インデックスはTOPIX連動型です。国債は安全かという疑問を持つ人もいますが、国の財政が破綻する前に、経営の悪化している地銀など民間の金融機関が先に倒産するでしょう。地銀にお金を預けるより安心だし、元本保証で、定期預金より利率は高い。現在は「変動金利型10年満期国債」が有利です。

 ただ、金融機関の窓口に行くと、必ずといっていいほど違う商品を勧められます。国債は手数料が低く、いくら売っても金融機関の利益にならないからです。地方などに住む両親には窓口で、「変動金利型10年国債と違う商品を買うと子供に怒られる」ぐらいのことを言うように伝えましょう。

 投信(インデックスファンド)には、税制面で有利な「iDeCo」(個人型確定拠出年金)や、少額投資非課税制度の「つみたてNISA」を優先させたほうが得です。

 ただし、iDeCoは投資上限(年40万円)があり、対象商品にはアクティブファンドなど高リスクな投信も含まれるので注意してください。

■お金の関する「3密」+「1密」

[密閉]応接室のような空間に入らない
[密集]○○セミナーに出席しない
[密接]セールスマンに近づきすぎない
       +
[秘密]「ここだけの話」に乗らない


▽山崎元(やまざき・はじめ)1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部を卒業。三菱商事、野村投信など転職12回。楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表。「図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」(文響社)、「マンガでわかる シンプルで正しいお金の増やし方」(作画・飛永宏之、講談社)など著書多数。

■給付金10万円の使い道「マネー教育と競馬」

 わが家には40万円が入ってきます。子どもたち(高校1年と中学2年)には、買い物や食事、投資、寄付など、どう使うかを考えなさいと伝えました。ある意味、マネー教育ですね。結局のところ、給付金はわれわれが納付した税金ですから、差し引きで考えるべきということです。私自身は、雑誌「優駿」でコラムを担当していますし、競馬に使おうと思っています(笑い)。

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