小沢コージ
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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

なぜホンダは「ホンダe」を年間1000台しか売らないのか?

公開日: 更新日:

Honda e(車両価格:\4,510,000/税込み~)

「やはり欧州マーケット中心です。あちらは年間販売目標1万台。CAFE(企業内平均燃費)規制をクリアしないととんでもないことになりますから」(ホンダ関係者)

 クルマ好き待望のピュアEVの発売が、ついに決まった。その名は「ホンダe」。去年のフランクフルトショー、東京モーターショーでお披露目され、8月27日に国内受注を開始すると共に10月30日の発売を公式リリース。するとあまりの人気で1カ月もたたずして受注一時停止。それもそのはず、国内販売目標は年間1000台。月に数十台しか売らないわけだから、そりゃあ足りなくもなるわ。

 サイズは想定より小さい。全長は3895mmとホンダ・フィットより短く、全高も1510mmと大したことない。特にリアシートは狭く、電池のおかげで高まってる床もあって、大人がゆったりと座れない。ラゲッジ容量も200ℓ以下と、結構狭い。しかしその分可愛くて質感が高く、愛されるペットのような存在なのだ。

“走るスマホ”としても上出来

 まずは筆者も実車を見にいったところ、質感はかなりソソられるレベル。ズバリ、日本のクルマ好きに絶対刺さるクオリティーだ。

 印象的なのはマル目2灯のキュートなマスクで、完璧に愛玩ロボット系。さらにホンダeのシルエットがそこかしこに隠し絵的に配置されている。

 インテリアで目につくのは、触感もいいウッド風直線パネルと同一化した水平のワイドビジョンインストルメントパネル。5つのモニターが横一線に並んでるだけで近未来感と落ち着きが感じられ、12.3インチ横長画面を2つ並べた中央の「HondaCONNECTディスプレー」も便利。ボタン1つで左右画面を入れ替えたり、アプリ履歴の表示も出せる。

 乗員としゃべる機能=音声でエアコンや音響が操作できる「Hondaパーソナルアシスタント」もホンダ車として初搭載。ナビ、ハンズフリー電話、車両設定や画面の壁紙の設定も可能で、間違いなく“走るスマホ”としても上出来なはず。

 走りも間違いなく良くて、パワー&トルクが154PS&315Nmの電気モーターをリアに搭載し、前後重量配分は50対50なのだ。間違いなくスポーツカー顔負けのハンドリングだ。

現状の日本ではイメージ戦略

 というわけで、人は大勢乗れずとも、見た目とハイテク感と走りで一定数の客は望めそうなホンダeだが、なぜそんなに販売台数が少ないのか。そこにはホンダのギリギリの駆け引きが透けて見える。

 ホンダeの電池搭載量は35.5kWhで、航続距離はWLTCモードで283kmと短い。少なくとも倍の60kWhぐらい積まねば、テスラ・モデル3や来年出る日産アリアとガチンコの勝負ができない。それもそのはず、「本当はEVなんか売りたくない。売れば売るほど損するビジネスなのだから」(自動車エンジニア)が本音なのだ。

 現在ピュアEVで儲かり始めているのは北米テスラぐらいで、それも価格設定の高さとクレジット(CO2排出権)売却の利益あればこそ。普通の大衆車メーカーは、マトモにEVを作っても利益は出ないのだ。

 ではなぜ作るのか? それはズバリ、イメージアップと企業内平均燃費規制が強まる欧州規制あればこそ。欧州では今後、燃費が一定以上悪いクルマを売れば売るほど、巨額の罰金が科せられる。それこそ1台当たり数10万円というレベルでだ。そのための対抗策としてのEVなのだ。現状のホンダeは、日本ではイメージ戦略。大量に売りたくはないのである。

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