AGCとセントラル硝子の統合見送りは「予想された結末」
経済産業省幹部らの苦虫を噛み潰す音が聞こえてきそうだ。生産能力が過剰でこのままではコスト競争力を失いかねないとして、かねて板ガラス業界に対し再編統合や設備集約化に取り組むよう強く促してきた経緯があるからだ。
業界最大手のAGCと3位・セントラル硝子が2021年末に予定していた国内建築用ガラス事業の統合見送りを決めた。19年12月から続けてきた統合協議を打ち切り、今後は「独自に事業構造改革に取り組む」(セントラル硝子関係者)としている。
AGCとセントラルは19年に国内建築用ガラス事業の統合で基本合意。当初は20年末の実現を目指して交渉を進めてきた。ただ新型コロナウイルスの感染拡大などを受け同10月に1年延期を発表。今回、統合計画そのものも白紙撤回に追い込まれた。
「事業の将来に対する見通しや資産評価について双方の見解が一致しなかった」(AGC関係者)もようで、現時点で協議再開の構想もないという。