せのや 福岡武志社長<1>いちびり庵運営、売上9割減も死守

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 3回目の緊急事態宣言で人通りがまばらになった大阪・道頓堀。あの大きなカニの看板やグリコのネオンもどこか寂しげだ。

■「石にかじりついても店を守ります」

 そのおひざ元に店を構える「いちびり庵」は大阪に3店舗を構える土産物屋。運営するせのやの福岡武志社長は「コロナ禍で売り上げは9割減です」と苦境を漏らす。

「ここ1年間ずっとです。前回と1回目の緊急事態宣言の時は店を閉めましたが、大阪を訪れる観光客が居る限り店を閉めるわけにはいきません。石にかじりついても店を守ります」

 コロナ前には中国や韓国からの観光客でひしめき、観光バスが横付けされて大きな買い物バッグを抱える人たちでごった返していた。

 その観光客を目当てにドラッグストアが次々オープン。海外からの観光客の目を引こうと「ザ・日本」といったグッズやTシャツが店先にぶら下がっていた。

 これを横目に「いちびり庵」では国内の観光客向けに大阪土産を並べ、売り上げを伸ばしていった。

「うちの外国人客の割合は2割程度。コロナ以前はオリジナルの大阪土産『たこ焼きようかん』などの人気商品の売れ行きが好調でした。店舗名の通り、『いちびり=ふざけてはしゃぎまわる人』のように、スタッフも陽気にお客さんを出迎えていましたね」

戎橋、難波、道頓堀の名所

 国内の観光客にターゲットを絞ったのには理由があった。いちびり庵がオープンしたのは2001年のこと。最初はパイロット店だったが、客足が途絶えることなく次々と店舗をオープン。一時は天保山マーケットプレースや東京・お台場にも出店し、6店舗までになった。

 しかし、東日本大震災や尖閣問題、インフルエンザなどの影響を受け、観光客が伸び悩み、今の3店舗に絞り込んだ。

「この時、今と同じように海外からの観光客が激減し、客足が落ち込みました。やはり海外客頼りはリスクが大きい。ひとつの学びでしたね」

 福岡さんは、国内需要に重きを置くようになる。コロナで海外の観光客が激減する中でも国内需要を主にすることで、リスクが軽減されているのだという。

 もし海外客頼りであったなら潰れていたかもしれない。現に道頓堀を中心としたミナミ地区では海外の観光客を目当てにしたドラッグストアや飲食店が次々と閉店し、シャッター街の様相を呈している。

 実はミナミ地区は過去にも対外的要因で、外国人観光客の増減を繰り返し、外国人観光客をあてこんだ業態が出退店する姿があった。

 それに抵抗するかのように、かねて地域資源を生かしたビジネスや街づくりをしていきたいと思いを募らせていたのが、いちびり庵の生みの親でせのや会長である野杁育郎さんだ。

 今は経営の一線から退いているが、福岡社長に引き継ぐ6年前まで現役バリバリで陣頭指揮を執っていた。=つづく

(取材・文=中森勇人) 

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