財界総理が「格差や貧困の解消が重要」と連呼? 抽象的な「新しい資本主義」に意識改革迫る
政界通(以下=政) 経団連の十倉雅和会長が、日本が抱える重要課題のひとつに「格差や貧困の固定化」を挙げているそうだな。
財界通(同=財) さすが、耳が早いな。その通りで、十倉会長は最近、会合の挨拶など発言の機会があるたびにそう指摘している、と聞いた。
官界通(同=官) 日本の経済界を牽引し、「財界総理」とも呼ばれる経団連会長が法人税の減税や規制改革など企業サイドに立った要望を超えて、そういう社会問題の解決を求めるというのは、珍しいね。
財 当然、持続可能な経済成長やロシアのウクライナ侵攻がもたらしたエネルギー危機、インフレ圧力、二酸化炭素の排出削減といった経済活動を制約する要因の解消も重要課題に挙げるが、「格差や貧困の解消」にも触れることが続いているようだ。
政 どういう趣旨なの?
財 人口減が始まり、自動化技術を駆使しても労働力不足が目立ってきたのに、出生率が上がらない。さらに、結婚しない若者が増えている。これでは経済成長どころか、日本の将来が危うい。その大きな原因のひとつが「格差や貧困の固定化」にあるというのが、十倉会長の問題意識だろう。